原油相場は上値・下値も限定的に、減産と利上げの強気・弱気材料が交錯Photo:PIXTA

荒い値動きを繰り返しながら、原油相場は上値も下値も限定的な動きを続けている。米国の利上げペース鈍化、中国のゼロコロナ政策継続など強気と弱気の材料が入り交じっていることがその背景にある。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)

9月下旬に下落後
一進一退の動きに

 原油相場は、荒い値動きながら上値・下値とも限定されている。11月下旬に、米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で1バレル当たり75ドル台、欧州北海産のブレントで82ドル台と1月以来の安値を付けたものの、大きく値崩れした感はない。

 原油相場は9月下旬にやや落ち込んだ。背景には、米国をはじめ主要国の利上げが相次ぎ、世界的な景気後退やエネルギー需要減退が懸念されるようになったことや、英国で大型減税策が発表されて金融市場が混乱する中、為替市場でドルが独歩高となってドル建てで取引される原油の割高感につながったことがあった。

 しかし、その後、原油相場は一進一退になる。現在に至るまで強気の材料と弱気の材料が交錯し、上値も下値も重い展開が続いている。次ページからその背景を探っていく。