ビジネスチャンスを捉えたい!動き出した都市部

 中国各都市の対応を見ると、経済特区を複数持つ広東省の方は規制措置の緩和を先行している。また江蘇省、浙江省は海外とのビジネスのリアル交流においては先陣を切っている。江蘇省はチャーター機を使って世界各地へビジネス訪問団を送りこみ、来年の経済発展のために基礎的な作業をすこしでも早めに推し進めようとした。その姿勢は非常に印象に残った。

 蘇州市商務局は11月17日から23日にかけて、日本へのチャーター便を飛ばし、対外貿易企業の責任者の計88人がビジネスツアーに参加した。1週間で、62の日本企業と団体を訪問し、三つの交流説明会を開催した。対外貿易企業の関係者も200余社の企業を訪問し、新規受注額をかなり確保できたようだ。

 12月に入ってから、蘇州市商務局はさらにフランス、ドイツへもチャーター便を出し、その延べ人数は200人を超えた。企画されるイベントだけでも230回以上もある。渡欧の目的は明確で、顧客である外国企業との関係を維持し、新規の注文を獲得することだ。

 南京市も268のビジネスグループを作り、海外で商談を展開している。訪問先はドイツ、フランス、カナダ、日本、韓国、アラブ首長国連邦(UAE)など16の国と地域に及んだ。さらに南京市商務局は官庁と共同で「南京国際商務便」という新しい出航ルートを構築し、航空券費用の補助、許可証発行のグリーンルートなどのサービスをワンストップで提供する仕組みをつくった。

 こうした先行都市を追っかけるかのように、常州、塩城、南通、鎮江、泰州、宿遷などの都市も最近、商談チームをドイツ、フランス、韓国などの国々に続々と派遣している。筆者のところにも日中ビジネスマンの受け入れについての相談が複数入っている。

 浙江省も負けてはいない。同省の重要都市である寧波市はビジネスチャーター便を2回8便編成し、延べ600人の貿易関係者を海外へ送った。今年11月末までに、寧波市の対外貿易企業は850人以上を米国、ドイツをはじめとするヨーロッパ、中東へ派遣した。

 11月14日、広東省も南方航空のチャーター便を使って160人の対外貿易企業の責任者をシンガポールに送り込んだ。

 こうした動きを見て、中国トップ3の経済力をもつ山東省は12月8日、山東輸出商品の展覧会などをオマーンのバルカ市で開催した。展示会は3日間だけだったが、山東省の時風集団、特亜鋼鉄、大漢科技など30社が一斉にアラブ市場を訪れ、受注争奪戦を巻き起こした。会期中にオマーンの専門バイヤー3000社以上を招待し、開幕式当日の訪問客が延べ8000人近くに達した。