JR東日本は11月の速報値まで公表しているが、新幹線・在来線特急を含む中長距離の鉄道営業収入はコロナ前の74.8%だ。新幹線の断面輸送量(特定区間を通過する輸送量)は東北新幹線(大宮~宇都宮・古川~北上)が同72%、上越新幹線(大宮~高崎)が同75%、北陸新幹線(高崎~軽井沢)が同80%だ。
JR西日本の11月速報値は、中長距離の鉄道営業収入が同74.2%、山陽新幹線新大阪~西明石間の輸送量は同78%、小倉~博多間は同83%だった。
JR東海は12月(12月14日時点)の速報値を公表しているが、東海道新幹線の輸送量は全体で同81%、「のぞみ」は83%だった。曜日別に見ると平日は78%、土休日は88%であり、依然としてビジネス需要より旅行需要が好調である。
さて、今回発表された年末年始の予約状況は、これらと同等かやや下回る数字だが、利用は80%前後だった前年度を下回るとは考えにくい。2年間見送った帰省や旅行を今年こそ、という人も多いだろう。
直近の人の動きを把握するために、JR東日本の定期外鉄道営業収入(近距離)をコロナ前と比較すると、10月は90.9%、11月は89.8%、JR西日本は10月が96.1%、11月は95.1%とかなりの水準まで戻りつつある。東海道新幹線の土休日の利用状況もあわせて考えると、85~90%くらいに達するのではないだろうか。
今年の鉄道利用は、前年度の年末年始で弾みをつけて好調に推移した。今回の年末年始の利用状況は、鉄道業界が来年こそコロナ禍を脱せるかどうかを占うことになるだろう。