がんになってみて思った
「がん保険は不要だった」
ところで、がんというと、がん保険を思い起こす人が多かろうから、実際にがんになってみてがん保険について思うことを書いておく。
筆者は、がん保険に加入していなかった。これは、自分で書いた本などにもある通りだ。
もちろん、がん保険に入っておいた方が「結果論として」得だった可能性が大きいのだが、「意思決定としては」がん保険に入らなかったことが正解だったと思っている。仮に人生をやり直すとすると、がん保険には加入しないだろう。自分の子どもたちにも勧めない。
そう思うのは、健康保険の高額療養費制度(加えて健保組合が定めた患者自己負担の上限がある)が強力であったことと、現実に支払った入院等の費用(約40日の入院の個室代が主だ)を考えると、医療費の支払いに全く支障がなかったことが理由だ。支払った額の総額は、これまでに歯医者で払ったお金の3分の1にもならない。
仮にがんにかかっても医療費の支払いに問題がないなら、がんにかかる確率を考慮した場合に保険料は自分にとって大幅に損になっているはずだから(そうでないと保険会社が潰れる!)、「意思決定としては」がん保険を契約しない方が得な理屈だ。
自分が特異なくらいがんにかかりやすい体質であることに強い自信があればこの限りではないのかもしれないが、その程度の逆選択への対策は保険料に十分以上に含まれているだろう。「営業」はともかく、「計算」に関しては、保険会社は信頼できる。
保険が真に必要なのは、自分では支払えない大きさのリスクを負う場合に限ることを、がんになってみて改めて実感した。