大手私鉄もダイヤ改正で
特急・座席指定列車を拡充
大手私鉄のダイヤ改正も平日ラッシュ時間帯の特急、座席指定列車の増発が相次いだ。東武鉄道は東上線「TJライナー」を平日朝上り1本、夕下り1本増発する。
朝ラッシュ時間帯の上りTJライナーは、コロナ以前は池袋7時5分着と9時11分着の2本だったが、6時53分着、7時23分着、8時49分着、9時11分着、9時49分着の5本となり、より通勤に利用しやすい時間となっている。
伊勢崎線系統の特急列車は「リバティりょうもう」の下り5本、上り6本を3両から6両に増強する。「りょうもう」には長らく6両編成の200系車両が使われてきたが近年、新型の500系「リバティ」車両への置き換えが進んでいる。500系は分割・併合可能な3両編成とすることで、弾力的な運行が可能な車両として開発されたとはいえ、今年3月のダイヤ改正で「りょうもう」の半数が3両編成化されたことには筆者もさすがに驚いた。
東武鉄道に話を聞くと、コロナの影響を踏まえて3両編成化したが、利用の回復を受けて混雑が見られる一部の列車を6両化することにしたそうだ。わずか1年での設定変更に「朝令暮改」との声もあるかもしれないが、コロナの影響を見通すのは困難であり、経費削減を徹底しつつ、利用が回復すればすぐに対応するという東武の決断は素直に称えたい。
西武鉄道も同様の傾向だ。新宿線では平日10時までに西武新宿駅に到着する特急「小江戸」7本の運行時刻を見直し、使いやすくするとともに、拝島線から直通する上り「拝島ライナー」を2本新設する。また池袋線でも池袋駅7時32分着の「ちちぶ12号」を増発する。
京王電鉄の平日朝上り「京王ライナー」では、京王八王子駅7時48分発、新宿駅8時40分着の「8号」、相模原線橋本駅7時10分発、新宿駅8時着の「36号」が増発され、夜の下り列車は、新宿駅午後6時40分発「37号」、午後7時40分発「41号」、午後8時40分発「45号」、それぞれ橋本行きの3本が増発される。
特急列車・座席指定列車は利用者の満足度を高めるとともに重要な収入源になる。今後もこの動きは続くだろう。
ここ2年続いた減便については、これまでほど前面には出されていないが「利用状況にあわせた輸送体系の見直し」、つまり減便や運転区間の縮小、終電繰り上げもしっかり織り込まれている。
各社は現状、コロナ以降の大幅な減便で人員や車両が余っているが、中長期的には適正規模に縮小され、増便は難しくなる。まだ手元に余裕があるうちにメリハリのある増便も含め、コロナ後の運行形態を模索する流れとなるだろう。