ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
ヨルダンってどんな国?
ヨルダンは西アジアに位置し、シリア、イラク、サウジアラビア、イスラエル、パレスチナに囲まれた国です。
国土の東部は、アラビア半島から続く砂漠の西端部に当たり、西部はヨルダン川(イスラエル、パレスチナとの国境)とその東側の高原からなります。死海のあるヨルダン渓谷は地溝帯で海面下の標高にあります。南西端は紅海に続くアカバ湾にわずかに開けています。
オスマン帝国による支配の後、1919年からイギリスの委任統治を受けましたが、第二次世界大戦後、1946年に王国として独立しました。
アラブの国として中東戦争に参戦し、第三次中東戦争では敗北してヨルダン川西岸地区を失いました。ヨルダン川を挟んでパレスチナと隣接していることから、第三次中東戦争後、多数のパレスチナ難民が流入しました。同時に流入したゲリラ勢力に対しては、1970年に追放する政策をとっています。
シリアからの大量難民を受け入れる
アラブ穏健派の国といわれ、1994年にはイスラエルと外交関係を樹立するなど、中東和平には重要な役割を果たしています。2000年代には経済成長を進めましたが、2008年以降は、世界的な金融危機の影響があって財政難に苦しんでいます。
従来、周辺各国からの難民を受け入れ支援する政策をとってきましたが、近年ではシリア難民の受け入れにともなう負担が大きくなっています。
経済活動のうち観光が主要な外貨獲得源となっています。とくに世界遺産でもあるペトラ遺跡や死海等に多くの観光客が訪れています。
ヨルダン・ハシェミット王国
面積:8.9万km2 首都:アンマン
人口:1091.0万 通貨:ヨルダン=ディナール
言語:アラビア語(公用語)、英語
宗教:イスラーム(国教、主にスンニ派)97.1%
隣接:シリア、イラク、サウジアラビア、イスラエル、パレスチナ
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)