90日も車を運転できない営業課員には辞めてもらうよ

 C社長はすぐにAを呼び、免停の事実確認とその理由を尋ねた。そして事情を聞き終えると

「ウチには90日間も君を遊ばせておく余裕はない。会社を辞めてもらうよ」

 と話した。

「そんな……クビになったら、次に行くところがありません」

 Aは涙目になりながら訴え、B課長も

「いくら何でもクビは厳しすぎます。どうにかなりませんか?」

 とAを擁護した。B課長に決定を否定されたC社長は意固地になった。

「じゃあB課長がその『どうにか』とやらを調べて、私に教えてくれ。それと、明日の挨拶回りは私とB課長で行くから、A君は来なくていいよ」

 次の日の夕方。挨拶回りから戻ったB課長の元にAが駆け寄った。

「自分は本当にクビなんですか?そんなのイヤです。課長、助けてください」

 B課長は情けない気持ちになった。Aをクビにしないための方法が分からなかったのだ。しかしAに泣きつかれ、どうにかしなければと思ったその瞬間、あることを思いだした。

「確か2年前、新入社員の退職でもめた時、社長から新たに顧問社労士と契約したことを聞いたな。もしかしたらその人にA君のことを相談できるかもしれない」

 次の日、B課長はC社長に、

「A君がクビにならずに済む方法を相談したいので、顧問社労士の連絡先を教えてください」

 と頭を下げた。その熱意に押されたC社長は、自分が直接会うことにし、その場でD社労士に連絡、面談の約束を取り付けた。