特にEVでは、着実に布石が打たれている。インドの現地法人マルチ・スズキは、今年1月13日~18日開催の「オートエキスポ2023(インド自動車ショー)」にSUVタイプのコンセプトBEV「eVX」をワールドプレミアした。
鈴木俊宏スズキ社長は「スズキの使命は、一般の人が手に届くクルマを供給していくこと。トヨタと提携しながら開発している小型EVプラットフォームをインドや日本で活用していく」と、小型廉価版EVの実用化がスズキの使命であることを強調する。
スズキのインド進出は、1982年に始まったインド政府との合弁生産事業がきっかけで、当時の鈴木修社長の「どこかの市場でトップになる」という考えがあっての決断だった。その後、インド政府のゴリ押しによる主導権争いもあったが、スズキ式経営の浸透とともにインドでのトップシェアを確保していった。当時のインディラ・ガンジー首相から「スズキはインドの労働文化を変えてくれた」と感謝されたほどである。
昨年2022年にインド進出40周年を迎えて現地で「インド事業40周年記念式典」を開催したが、鈴木俊宏社長ともども鈴木修相談役も現地に出向いた。ここでも鈴木修相談役の「盟友」であるモディ首相が出席するなど、インド事業進出を決断し今もなおインド事業に執念を燃やす鈴木修氏の存在感を見せつけた。