ともあれ、スズキも鈴木俊宏社長が就任(15年6月)してからこの6月で8年目を迎える。豊田章男トヨタ社長も「もう一人のおやじ」として一目置く鈴木修氏が相談役の立場からにらみを利かすものの、俊宏社長も軽自動車業界代表として自工会副会長に就任しており、内外での「スズキ俊宏体制」の盤石化が進む。俊宏社長は5日の賀詞交歓会後、直ちに米ラスベガスで開催されたCESに飛び、さらにインド自動車ショーでのEVコンセプトカー初公開の場にも駆けつけるなど、年明けから早くも世界を東奔西走する精力的な動きを見せている。
今年の幕開けは、米CESでのソニー・ホンダのEV新ブランド「アフィーラ」披露が話題となった。これはこれでクルマとAI、「エンタメカー」として注目されるが、あくまで高価格帯の少量生産を志向するEVであろう。
一方で、スズキが目指すEVは、かつて軽自動車に革命を起こした原点である「アルト」のような庶民が手に入れられるクルマ、モビリティだ。インドでの成功例を、さらにEVでも発揮していくことが期待される。
(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)