大手電力10社で構成する「電気事業連合会(電事連)」の池辺和弘会長(九州電力社長)の続投が濃厚となった。続投となれば超異例の4年目となる。カルテルや情報漏洩などの相次ぐ不祥事で、有力候補は軒並み“アウト”に。特集『電力バトルロイヤル』(全6回)の#1では、迷走する業界の「顔役」選びの内幕を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
九電・池辺会長は異例の長期政権へ
関電や東北電への交代に注目が集まった
東京電力ホールディングス(HD)、関西電力、中部電力など大手電力10社でつくる業界団体「電気事業連合会(電事連)」の顔役である会長職を巡り、現会長の池辺和弘・九州電力社長が今春以降も続投する方針が濃厚となった。
複数の関係者へのダイヤモンド編集部の取材によると、「1年限りの続投案」が最有力とみられている。早ければ2月17日に開かれる電事連会長の定例会見で発表される見込みだ。
池辺氏が1年間務めることになれば、2000年以降では11~16年に会長を務めた関電の八木誠社長(当時)に次ぐ超異例の長期政権となる。
池辺氏は、中部電の勝野哲社長(当時、現会長)の後任として20年3月に会長に就いた。電事連の会長職は一貫して「中3社」と呼ばれる業界トップ3(東電HD、関電、中部電)が持ち回りで務めるのが慣例で、池辺氏の会長就任は中3社以外では初だった。
会長職は2~3年務めることが通例で、昨春も池辺氏の去就は注目された。後任候補の名前には、中部電の林欣吾社長らが挙がったが、中部電を含む大手電力4社によるカルテル容疑が明らかになり、候補者は不在に。池辺氏の3年目の続投が決まった。
今春も池辺氏の後任に、関電の森望社長や東北電力の樋口康二郎社長の名前が挙がっていたのは事実だ。それでも池辺政権の長期化が濃厚となった背景には、実質的に「消去法」としか言いようがない状況がある。次ページでは、かつては最強の業界団体とも評された電事連のトップ人事を巡る迷走ぶりの内幕を明かす。