「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、40代以降ともなれば「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれない……。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。
30代以降は3人に2人に
歯周病の疑い
【前回】からの続き 歯を失う理由は、ズバリ「歯周病」と「虫歯」(う蝕)です。2018年に全国2345の歯科医院で行われた「第2回永久歯の抜歯原因調査」では、その割合は歯周病が約37.1%で、虫歯が約29.2%。この2つで全体の3分の2を占めています。
若い世代では、虫歯で歯を失う人が多く、40代から歯周病で歯を失う人が急激に増えてくるという特徴があります。30代以降では3人に2人が歯周病の疑いがあるとされています。認知症が気になる世代では、歯周病への警戒を怠らないことです。
虫歯でなくても
歯が抜け落ちる
歯周病は、昔は「歯槽膿漏(しそうのうろう)」と呼ばれていました。原因となる歯周病菌の活動により、歯を支えている組織に炎症などが起きる病気であり、歯を支える土台にダメージが及ぶと、虫歯でなくても歯が抜け落ちてしまいます。
虫歯のように痛むわけではなく、自覚症状が少ないのが歯周病の特徴です。そのため、気づいたときにはすでに手遅れで、歯が抜けるケースも少なくないのです。
大昔の歯磨き粉のCMに「リンゴをかじると歯茎から血が出ませんか?」というものがありました。このキャッチコピーは歯周病を意識したものですが、リンゴをかじらなくても、歯周病の兆候をとらえることはできます。それは、次のようなものです。
歯周病の兆候をとらえる自覚症状
☑ 歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなった
☑ 歯茎が落ちて歯が長く伸びて見えるようになった
☑ 歯磨きのときに歯茎から出血がある
☑ 人から口臭があると指摘された(あるいは自分で口臭を自覚した)
☑ 歯茎に赤く腫れている部分がある
☑ ものを噛むと歯が揺れるような感じがする
いかがでしょうか? 思いあたる項目が1つでもあるなら、“かかりつけ歯科医”に、早めに診てもらうようにしてください。 【次回に続く】
※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。(文・監修/松原英多)