あらかわ遊園スタイル
気持ちにも遊びにも、ゆとり

 遊園地、動物園、公園の代表的な3種のエンタメを柱に、その周りを100円入れたら動く小さいメリーゴーラウンドやら自走式乗り物、釣り堀やら、ピョンピョン跳びはねて遊ぶ「ふわふわドーム」やらが点在して囲む布陣である。しかしそれらはゴチャッと固められておらず、ある程度のゆとりを持って隣接し合っている。あちらのゾーンからこちらのゾーンへと渡り歩き、違った種類のレジャーを次々に楽しむ……これがあらかわ遊園スタイルである。
 
 結局、筆者一行はその日動物園エリアに傾倒して、アトラクションは汽車に2回乗っただけだった。出費は食事代、動物たちにあげるエサ代数百円、100円遊具×10回分くらい、駐車場代100円で、3人分の出費総額6000円強という破格の安さである。
 
 途中、娘がころんでひざをすりむいて、すっかりしょげ返ってしまった。入園ゲートの若い男性に事情を説明して、ばんそうこうをもらえないか尋ねると、「こちらへ」と秘密の医務室のようなところに案内してくれた。筆者が礼とわびを述べると、男性は極めて丁寧に優しく返事をしてくれた。そこで、筆者も丁寧さで負けたくない気持ちともっとその男性に優しく丁寧にしたいような衝動に駆られて、丁寧さを増して接すると、男性も乗ってきてさらに丁寧になり、「どちらがどれだけ丁寧で感じがいいか」を競うようなあんばいになった。
 
 決着がつかないままやっているうちに、やがて救護担当の白衣の女性が出てきて、娘の傷の手当てをしてくれた。娘はすっかり元気になって、めいと2人、ものすごく楽しく過ごしたようであった。
 
 あらかわ遊園が刺さる層は低年齢で間違いないが、ごちゃついておらず、「ちょっと発達した、にぎわう公園」くらいの雰囲気は落ち着いていて、大人にとっても好ましい。なお大人向け集客イベントとしてイルミネーションなどもやっているようである。
 
“ちょっとお出かけ”にあらかわ遊園、ぜひお勧めしたい。