1位のコニカミノルタ山名氏は業績不振
東レ日覺氏、三井住友FG國部氏は不祥事で上位

 まずは下記のランキングで、ワースト30の顔触れを確認してみよう。データは21年6月~22年6月開催の株主総会ベース、プロネッドが22年7月1日時点で集計したものである。

 ワースト1位になったのは、コニカミノルタ会長の山名昌衛氏(67)である。選任議案の賛成率は61.1%にとどまった。

 同社では22年4月に大幸利充氏(61)が社長に昇格し、8年ぶりの社長交代があった。だが、社長になったばかりの大幸氏の賛成率も76.1%と振るわず、株主からの信任の目安となる80%を切っている。

 コニカミノルタは20年3月期に純損益で赤字に陥り、22年3月期も赤字を脱することができなかった。業績の低迷が響いて、株主の反対票が多くなった構図だ。PBR(株価純資産倍率)は「会社を解散した方がまし」とされる1倍未満で、0.43倍(23年1月4日終値ベース。以下同)と低迷している。

 なお、山名氏は6月に会長を退き、シニアアドバイザーに就任する予定である。

 2位はタチエス会長の中山太郎氏(66)で、賛成率は62.4%だった。自動車用シート大手の同社もコニカミノルタと同様、経営不振に陥っている。22年3月期まで純損益は3期連続で赤字。PBRも0.48倍と低かったことで、株主の不興を買った。

 3位には大物経営者が入った。東レ社長の日覺昭廣氏(73)で、賛成率は63.7%。10年6月に社長に就任してから、トップに君臨している期間は12年以上に及んでいる。

 この間、同社では何度も不祥事が起きた。17年の品質不正の発覚では、神戸製鋼所、三菱マテリアルと共に、安全性の観点から社会的な問題として注目を集めた。

 多くの製品に使われる素材だけに批判は大きく、神戸製鋼社長(当時)の川崎博也氏、三菱マテリアル社長(同)の竹内章氏は、それぞれ引責辞任。一方、2人とは対照的に、日覺氏はそのまま玉座に居座った。

 その後東レでは、21年12月に樹脂製品の一部で米国の第三者認証を不正に取得していた問題も露見した。樹脂製品は家電や車部品などに使うもので、30年以上にわたって組織的な不正行為を続けていたのだ。

 さらに今年3月には、ダイヤモンド・オンラインが新たな品質不正について報じている(詳細は『【スクープ】東レの鉄道用防音壁に欠陥発覚!JR九州、東武、京成、南海など鉄道各社に「リコール」拡大へ』参照)。

 長期政権を敷きながら、度重なる不祥事を起こし、その上PBRも0.75倍と解散価値割れの水準である。株主が日覺氏の再任に反対し、その続投が危うくなるのは無理もないことだ。

 不祥事という意味では、6位となった三井住友FG会長の國部毅氏(68)も同じだ。傘下のSMBC日興証券で起きた相場操縦事件では、法人としてのSMBC日興と幹部5人が起訴。副社長の佐藤俊弘容疑者が逮捕されている。

 SMBC日興は09年に三井住友FGに傘下入りした。現在の社長、近藤雄一郎氏が就任するまで、2代続けて銀行の元副頭取がトップを務めてきた。この経緯があったため、親会社の責任を問う形で國部氏への反対票が膨らんだ。

 4位の信越化学会長の金川千尋氏(23年1月に96歳で死去)は、賛成率が64.2%だった。ただ、同社の22年3月期の純利益は5001億円と高水準で、過去最高益を更新している。不祥事も特に起きていない。にもかかわらず、金川氏の再任に反対が多かったのは、どうしてなのか。

「金川氏の社長就任は1990年。最期まで代表取締役だったので32年以上もトップに君臨した。90歳を超す年齢を考えると、あまりにも長過ぎた」(大手証券関係者)との指摘がある。

 このほか、同社の取締役に女性がいなかったり、社外取締役3人の在任期間がいずれも12年以上と長過ぎたりしたことも、マイナスに評価された。このため「企業統治上、問題がある」と判断した機関投資家が、金川氏に反対票を投じたのである。

 ランキングの後半部分、16位以降には民放キー局の幹部が目立った。16位に日本テレビホールディングス会長の杉山美邦氏(67)がランクイン。フジ・メディア・ホールディングスからは2人も入っており、会長の宮内正喜氏(78)が21位、社長の金光修氏(67)が24位。TBSホールディングス会長の武田信二氏(69)が25位に付けている。

 3社ともPBRは0.29~0.35倍と極めて低く、ワースト30に入った会社の中でも低水準である。

 さらに、TBSは会長の武田氏、フジは取締役相談役の日枝久氏(85)が「院政を敷いている」(別の大手証券関係者)との批判がある。日本テレビも「株主そっちのけで読売新聞グループとの権力闘争に明け暮れている」(大手銀行幹部)との指摘がある(杉山会長は読売新聞社出身で、読売新聞グループ本社の取締役を兼務)。

 企業統治上の問題も相まって、株主の反対票が膨らみ、3社の計4人がワースト30に入る格好となった。

Key Visual by Noriyo Shinoda, Graphic:Daddy's Home