音声アシスタント分野では先行するアップルの出方は?

 そして、筆者がもう一つ気になるのが、スマートデバイスにおけるAI利用の先駆者的な立場にありながら、この分野に関して沈黙を続けるアップルの存在だ。同社のポリシーに照らして、不正確な情報を返す可能性が少なくない技術を公開するわけにはいかないなどの理由が考えられるが、たとえば(ユーザーマニュアルを同梱しない企業ゆえ)、初心者でも自社製品の特定の機能が理解できるまでボイスチャット形式で教えてくれるような応用であれば、問題なく実現できると思われる。

 同社は、公表当時は酷評された純正マップについてもブラッシュアップを重ねて独自機能を盛り込み、部分的にはGoogle Mapに勝る仕様を実現してきた。マルチモーダルチャットAIの世界でも、AI倫理を固めた上でSiriをベースにiWork内で生産性をアップするAIツールを搭載するくらいのことは今年のWWDCで発表されてもおかしくない。

 オープンAIが先行していたが、既存のIT大手プレーヤーも参戦してきたジェネレーティブAIの世界。AI開発を巡る時計の針はこれまでになく速く回り続けており、それをいかに手なずけて業務や日常生活に取り入れるか、それが企業にも個人にも問われる時代となってきた。