女性の社会参加を拒むことは有害である

 世界全体のmGGGIは、2010年の58%から2021年の62%へとわずかに改善していた。2021年時点の最も低い値はアフガニスタンの28%であり、最高値はアイスランドの87%だった。2021年のデータを用いてmGGGIと平均寿命の関連を解析した結果、mGGGIが10%高いことは、その国の女性の平均寿命が0.36年(4.3カ月)長いことと関連があり、男性の平均寿命が0.29年(3.5カ月)長いことと関連が認められた(いずれもP<0.0001)。

 研究者らは、「本研究によって男女平等の推進が、いかに普遍的で大きなメリットにつながるのかが示された。これは、『女性が得をすれば男性が損をする』という古い考え方を否定するものだ」としている。Pinho-Gomes氏も、「女性の社会参加を拒むことは有害であって、21世紀になっても多くの政治家がまだそれを理解していないのは嘆かわしい」と語っている。

 他方、本研究ではmGGGIと寿命の関連は、国ごとの社会経済状況によって異なることも明らかになった。具体的には、高所得国ではmGGGIが10%高いごとに、平均寿命の性差が6カ月縮小する一方、南アジアと、東南アジア、オセアニア諸国では13カ月拡大し、サハラ以南のアフリカ諸国では16カ月拡大していた。これに関連してPinho-Gomes氏は、「一般的に男性は女性よりも、けがや予防可能な疾患のために亡くなる傾向が強いが、社会全体がより健康で豊かになっていくことが男性の健康に対して、大きなメリットをもたらす可能性があることを示しているのではないか」と述べている。

 本研究には関与していない、米国の健康関連非営団体「Partners In Health」の最高経営責任者であるSheila Davis氏は、「教育や健康といった、生きるためのベーシックな資源に女性がアクセスできるようになると、そのコミュニティー全体に波及効果が及ぶ。われわれはそのような事例を数多く見てきた」と話す。また、「女性は家族、つまり子どもたちと年配の血縁者の世話を担っていることが多く、女性が健康であることで、ほかの全ての人の健康も維持される」と付け加えている。

 一方、Pinho-Gomes氏は、「教育が男女平等の前提条件だ」と強調する。本研究でも、mGGGIのサブスコアの検討で、女性の平均寿命の延伸に最も強い影響を及ぼしているのは教育であることが示された。具体的には、教育の男女平等のスコアが10%高いことは、女性の寿命が5.04年長いことと関連があり、男性の寿命への影響は1.05年だった。

 Davis氏もPinho-Gomes氏の主張に同意。「われわれは教育が大きな影響力を持っていることを理解している」とし、女性が専門職に就く機会を増やすためにも、高等教育へアクセス可能な機会を増やす必要があると述べている。(HealthDay News 2023年3月7日)

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