4月までに改善できなければ
利用者に敬遠される恐れも

 もっとも相鉄にその視点がないわけではなく、電車の行先は行き先・種別と「○○線直通」が交互に切り替えて表示されており、旅客案内装置における色分けは機能上の制約から、やむを得ず導入したものなのかもしれない。

 だが電車が到着した際、数秒おきに切り替わる表示を見て乗車の可否を判断するのは心穏やかではないし、混雑時は混乱のもとにもなりかねない。また乗換駅である西谷駅はホーム上の旅客案内装置が2基しかないため、乗客が案内装置周辺に集中し、混雑を招くリスクもある。

 旅客案内装置の問題は他にもあり、「○○線直通」が表示されないため、JR川越線川越駅と東武東上線川越市駅、東京メトロ副都心線池袋駅とJR埼京線池袋駅など、まぎらわしい行き先が存在する。

 特に土休日は西谷駅7時47分発川越行きと52分発川越市行きが連続し、旅客案内装置の停車駅案内には一つが「川越まで先にまいります」、もう一つが「川越市まで先にまいります」と表示される始末だ。

 いずれも行き先としてはレアケースで全ての時間帯に生じる問題ではないが、だからこそとっさに判断できない利用者も出るのではないだろうか。乗車する電車を間違えても基本的には似たような方向に行くのでリカバリーは可能だが、運賃が変わるなどの問題は避けられない。

 これまでとは通勤経路が変わる新しい直通運転を伴うダイヤ改正の真価は、4月以降の定期券の切り替え時期を過ぎてから発揮される。それまでのお試し乗車で痛い目を見れば、利用者は新横浜線を敬遠しかねない。

 利用者からどのような声が寄せられ、どのように改善していくか相鉄に取材したが、開業対応に追われているようで、こちらも当原稿の締め切りには間に合わなかったので、引き続き注視していきたい。相鉄の社運を懸けた大変革の成否は、利用者の細かい目線に迅速かつ的確に応えられるかにかかっているだろう。