終電ギリギリまで残業しているのに仕事が終わらない人と、必ず定時で帰るのに成績No.1の人。この差はいったい何だろう? 努力が成果に反映されない根本的な原因はどこにあるのだろうか? そんな悩みを本質的に解決してくれるのが、『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。
著者は、東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の北の達人コーポレーション(東証プライム上場)社長・木下勝寿氏。
「食べチョク」秋元里奈代表の「2022年に読んだオススメ本3選」に選抜され、【がっちりマンデー!!】(TBSテレビ系)のSNSで取り上げられた本書。年度が切り替わるこの春、『時間最短化・成果最大化の法則』ブームはますます加速していきそうだ。
そこで今回、『365日 #Tシャツ起業家』の著者でもある秋元代表に、本書の活用術を教えてもらうことにした。
第2回は、「30代で後悔しないために、20代でやっておくべきこと」「忙しさと仕事の速さの関係」をテーマに話を聞いた。(構成・川代紗生)

誰より仕事が多い人ほど誰より仕事が速い理由

「忙しさ」は自分の感情でコントロールできる

──秋元さんは、「20代のうちに身につけておくべきだった」と後悔している習慣はありますか?

秋元里奈(以下、秋元):人生を忙しくしているのは自分自身だ」ということに、もっと早く気がついていたらよかったかな、と思います。

 経営者になってからは、時間の使い方にかなり気をつけるようになったのですが、20代は時間管理の方法がまったくわかりませんでした。

 ですから、『時間最短化、成果最大化の法則』に書かれていた「『忙しさ』は自分の感情でコントロールできる」という言葉に、とても共感しました。

結局「忙しさ」とは、業務量の物理的な多さではなく、主観に左右される。
同じ作業量でも、ある人は「忙しい」と感じ、ある人は「暇だ」と感じる。
以前の自分なら「忙しい」と感じなかったのに、今の自分は「忙しい」と感じる。
よって「忙しさ」は自分の感情でコントロールできる。(P311)

デキる人は「最短距離の忙しさ」を見極めている

──秋元さんの他のインタビューなども拝見したのですが、20代の頃は断るのが苦手で、予定をぎゅうぎゅうに詰め込んでいたとか。

秋元:今も、予定を詰め込んでいるのは同じです。決して、予定が減ったわけではない。

 でも30代以降は、意図的に詰め込んでいる感覚です。

 取捨選択できるようになったのだと思います。

「忙しさ」については、以前から課題の一つではありました。

 いろいろ試行錯誤し、情報収集した結果、「本質的なところに時間を使えば、人生は、何かをやり遂げるには十分すぎるくらい時間がある」という考え方にたどり着いたんです。

 いろいろな本を読んだり、経験を積んだりするうちに、「忙しさ」という言葉の意味合いが、私の中で大きく変化しました。

 かつては、「やりたいことがあるのに、忙しくてできない」と、「忙しい」を免罪符として使うことが多かった。

 けれど次第に、自分が成し遂げたいことに対しての「最短距離の忙しさ」であればいい、と思うようになりました。

仕事が「速い人」と「遅い人」。目標設定の違いは?

──「忙しい」という主観的な感覚をコントロールするには、どんな方法が有効でしたか?

秋元:時間最短化・成果最大化の法則』のうち、【法則16】実感しやすいから達成できる「日付の数値化の法則」が大事だと思います。

誰より仕事が多い人ほど誰より仕事が速い理由

 これは、私が無意識にやっていたことをとてもわかりやすく言語化してくれていて、「そうそう、これが言いたかったの!」という気持ちになりました。

「目標を立てるときは『実感しやすい数値』で立てる」という手法は、どんな場面でも非常に有効だと思います。

 日数に置き換えると、「意外と時間がない!」「すぐに行動しないと絶対間に合わない!」と気がつけるんです。

「今月中」や「今週中」のようなあいまいな期限設定だと、「残り◯日」「今日は何をする」がイメージしにくい。

 結果として、ギリギリになってから、「あれ、いつの間にこんな時間になってたの!?」と慌てることになります。

 本書に書かれていましたが、

「今日の定時まで」→「7時間半以内」
「月5万個販売する」→「1日1666個販売する」

 というように、目標を数値に置き換えるだけでも、「忙しい」の解像度は大きく変わります。

月別目標の場合、「いつかなんとかなるだろう」「月末に一発逆転」的な甘い考えが生まれがち。最終的に5万個販売できたかどうかの粗い判断になり、改善機会は1ヵ月にたった1回となる。
一方、日別目標の場合、毎日、進捗状況を把握できるし、うまくいっていない場合は日々改善できる。なにせ1ヵ月に30回の改善の機会が生まれるのだから。(P130~131)

 本書ではこのように、優秀な人の考え方がわかりやすく解説されています。

 1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズムは強力です。

 とてもとっつきやすいので、普段あまり本を読まない人にもぜひおすすめしたいです!