民主党の一部議員に対し
党内からも批判の声
こうした民主党の動きに対して、与党「国民の力」の金起鉉(キム・ギヒョン)代表は、同党の最高委員会会議で「福島産水産物が韓国内に入ることはないと政府が明確に伝えたにもかかわらず、日本メディアを根拠とした民主党の扇動が続いていることに本当にあきれる」と述べた。
一部の民主党議員の動きについては民主党内からも「実益のない行動」という懸念の声が上がっている。韓日議連所属の民主党議員は「一切の調整がない状態で日本に行っても何もできないだろう」「むやみに踏み込んでいる感が拭えない」「日本の反感が強まるだけの結果になる可能性が高い」と批判した。
朝鮮日報は、こうした民主党議員の行動について、2011年に日本の自民党議員3人が竹島の領有権を主張する目的で鬱陵島(ウルルンド)を訪問しようとしたが、金浦空港で韓国入国を拒否された出来事と似ていると記している。
これに倣えば、政治扇動を目的に日本を訪問しようとする民主党議員を空港で入国拒否してもいいのかもしれない。いずれにせよ日本にとっても韓国にとっても迷惑な人々である。
民主党の独善的な主張は
韓国の信頼を落とすだけ
民主党代表の李在明(イ・ジェミョン)氏は、済州島(チェジュド)で行われた同党の最高委員会議で「済州は原発汚染水で最初に深刻に破壊される危機に直面している」「それでも政府は事実上、傍観している」と批判し「韓米首脳会談の正式議題に格上げし、米国の前向きな考えを引き出すべきだ」と主張した。
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しかし、その米国は、国務省のプライス前報道官が2月に述べたように、原発処理水の海洋放流について「IAEAの原子力安全基準を強く支持する」「国際社会に対する日本の透明性と緊密な協力を歓迎する」と述べている。
民主党は、自分たちの主張の立場が正しいとの思い込みで外交を行っているが、独善的な主張を続ければ韓国の信頼を落とすだけだということを肝に銘じてほしい。
(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)