外資系コンサルティングファームの間で最近、大規模な人員削減の動きが海外で相次ぎ表面化しているが、日本ではコンサルタントのキャリアが有望であることに変わりはない。コンサルキャリアは、経営幹部への「高速道路」ともいえるのだ。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、コンサル業界に精通する転職エージェント、コンコードエグゼクティブグループの渡辺秀和CEO(最高経営責任者)が、コンサル出身者が転職市場でも引く手あまたとなる理由を解説。コンサル出身者の“超鉄板”の5つのキャリアパスを紹介する。
大規模リストラ表面化も
日本では好調さが目立つ
世界ではこのところ、米国のテック企業にとどまらず、外資系コンサルティングファームの間でも大規模な人員削減の動きが相次いでいる(編集部注:主要ファームの人員削減に関しては『米アクセンチュア1.9万人削減へ、日本法人へのリストラ波及は?独自入手の内部メールに示唆』や『マッキンゼー、KPMGの大リストラでバブル終焉?外資コンサル日本法人5社に聞く「人員削減」』を参照)。日本でビジネスを展開する主要ファームの動向が気になる人も多いだろうが、結論を言えば、国内においては採用を巡る流れが大きく変わったとはみていない。
日本の市場は一定の規模感を有しており、クライアント企業からのニーズの減少も見られない。DX推進やM&A、さらにSDGs、ESG関連のニーズなどの高まりにより、コンサルティング業界全体が急成長している。新しく出てきた経営課題に対応するため、コンサルに支援を求めるクライアント企業からの依頼は、今なお引きも切らない。そのため、採用意欲も向こうしばらくは衰えない見通しだ。
コンサルティング業界の成長に呼応するかのように、転職市場では引き続きコンサルティング業界を志す優秀なビジネスパーソンの方々は後を絶たない。
これは新卒採用でも同じことがいえる。足元は24年卒の学生の就職活動が真っ盛り。現在も東大生をはじめとする名門大学の学生からのコンサル業界への人気は全く衰えていない。東大生の卒業後の進路といえば、以前は官僚やメガバンク、総合商社などが中心だった。
しかし、東京大学新聞が毎年発表している「東大生就職先ランキング」によると2022年卒の学部生就職先ランキングには、マッキンゼー・アンド・カンパニーやPwCコンサルティング、アクセンチュア、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、野村総合研究所、アビームコンサルティング、クニエなどコンサルティングファームの名前が並ぶ。9年前の2013年卒の同ランキングにはTOP20にはマッキンゼー・アンド・カンパニー1社だったことを考えると、目覚ましい変化といえるだろう。
欧米では逆風も吹きつけるものの、日本国内だけに限定すれば、コンサル市場は好調であり、キャリア上の優位性も当面の間、続くとみられる。以降では、コンサルティング業界がなぜ優秀なビジネスパーソンたちや名門大学の学生たちから注目を集めているのかを解説。驚くほど多岐にわたるコンサル出身者「ポストコンサル」のネクストキャリアの魅力をひもといていく。