リサーチ力 最強のビジネススキル#8

運用ファンドの基準価額を設定来約10年で10倍超にするなど、すご腕ファンドマネジャーとして知られるアセットマネジメントOneの岩谷渉平氏。特集『リサーチ力 最強のビジネススキル』(全9回)の#8では、そんな岩谷氏が行っている「成長する市場・企業」を見抜くリサーチの手法と着眼点について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本 輝)

すご腕ファンドマネジャーの
成長企業の見極め方

――岩谷さんは銘柄選定の際に、どのような点に注目してリサーチを行いますか。

 二つのパターンがあります。一つ目が、社会の課題に注目するものです。

 例えば、社会保障費や医療費が高額になっている、少子高齢化が進んでいる、外貨を稼げなくなっている……なんでもいいですが、ある程度金額で表現できる課題がありますよね。

 こうした社会の困り事をなくすようなサービスがあれば、そのなくなった分を、うまく売り上げに転換することができると考えてマーケットを捉える方法を行っています。

 家庭の中でもそうした困り事はたくさんあるはずです。

 例えば学習塾には多額の費用がかかりますが、同じくらい成績が向上するなら月10万円よりも月1万円の方がうれしいし、英会話も同じように上達するのであれば1回に1万円かかるよりも100円の方がいいですよね。

 英会話であれば、海外の講師とオンラインでつなぐことで価格を抑えるなどしたサービスが実際にあるわけです。そうした顧客の「嫌だな」という感情をなくして幸福にするサービスを、うまくビジネスを工夫して提供している会社を探してみる。これが分かりやすい手法だと思います。

次ページでは、岩谷氏が行っているリサーチの着目点の二つ目について解説する。また、岩谷氏は意外なことに「細かい数値を見るリサーチにはあまり意味がない」と口にする。その真意とは?