パフォーマンスは鮮烈である。試乗時に全面ディスプレイ、MBUXハイパースクリーンに気を取られていたこともあり、アクセルペダルを不用意に踏み込んでしまった。450がBEVにしては大人しい制御だったので油断していたというのもある。まるで違う圧倒的な加速フィールに度肝を抜かれた。

 といっても、“加速ダッシュ命”のモデルとは違う。出力コントロールはきめ細やかで、しかも前後パワー配分も精密。つまり、恐怖心はない。眼前に広がる“新しい景色”を楽しみながらスピードの伸びを味わっていられる。

驚きのスタイリングから新感覚のインテリア
そして精緻なパフォーマンス

 乗り心地は450に比べるとはっきりと硬質。コンフォートモードでもしっかりしている。低重心が生むフラットライドフィールは印象的で、クルージング時の安心感はこのうえなし。それでいて自由に動かせる感覚がつねにある。フロントの駆動制御が心強く、そうそう簡単に姿勢を崩すようなことはなかった。ドライバーズカーとして、とても優秀なフルサイズBEVだ。さすがAMGである。

 最大9度まで切れるリアアクスルのおかげで、小回りが利くことにも驚かされた。450よりも街中での使い勝手はよく、さらにあらゆる場面において安定感ある走りの実現に寄与している。

 EQS53は、驚きのスタイリングから新感覚のインテリア、そして精緻なパフォーマンスまで高い完成度だった。久しぶりにメルセデスの“真剣”を味わうことができた。

(CAR and DRIVER編集部 報告/西川 淳 写真/小久保昭彦)

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