「中身のない映画」の評は本当か
人生の糧のような教訓はないが…

 まず、観賞前に耳にしていた「中身のない映画」という評については、観賞後「エンターテインメントの映画は、大体どれもこれくらいのものだと思います」と意見を述べておきたい。マリオの映画に問題提起や人生の糧となるような教訓を、はたして何割の人が求めているだろうか。

 おそらく多くの人が求めているのは無心になってのめり込める、魂が躍るような楽しいエンタメであり、『新作マリオ映画』にはそれが備わっている。ファンが見た方がより深く楽しむことができるには違いないが、マリオ知らずの人でもちゃんと楽しめるA級エンタメ映画である。
 
 一つだけ、これは一ファンとしてだが、不満があるので記しておきたい。物語序盤でマリオとルイージが家族(父母や親戚?など)に囲まれるシーンがあるのだが、あれはあってほしくなかった。

 マリオとルイージは、ゲームで親しんできたファンにとっては世間をやや超越した存在であって、ファンも知らなかった家族が唐突にワラワラと出てきてマリオたちを囲んでしまうと、マリオたちがいよいよ一般人っぽく映るのである。

「マリオも現実世界の住人」であることを描写したかった狙いはわかるが、ならば「マリオの家族」なる雑に用意した舞台装置でなく、別のアプローチを望みたいところであった。
 
 ともあれ、『新作マリオ映画』は非常に面白かった。GW中のお出かけにオススメの作品である。