「あれ? いま何しようとしてたんだっけ?」「ほら、あの人、名前なんていうんだっけ?」「昨日の晩ごはん、何食べんたんだっけ?」……若い頃は気にならなかったのに、いつの頃からか、もの忘れが激しくなってきた。「ちょっと忘れた」というレベルではなく、「しょっちゅう忘れてしまう」「名前が出てこない」のが、もう当たり前。それもこれも「年をとったせいだ」と思うかもしれない。けれど、ちょっと待った! それは、まったくの勘違いかもしれないのです。
そこで参考にしたいのが、認知症患者と向き合ってきた医師・松原英多氏の著書『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』(ダイヤモンド社)だ。本書は、若い人はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも脳が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、脳の衰えを感じている人が陥りがちな勘違いと長生きしても脳が老けない方法を解き明かす。
動物との触れ合いで
ストレスやうつ状態を緩和
【前回】からの続き 犬などの愛玩動物との触れ合いが、認知症患者さんのストレスやうつ状態の緩和に役立つことがあります。
これは古代ローマ時代から兵士のリハビリに使われてきた長い歴史がある「アニマル・セラピー」と呼ばれるメソッドです。
アニマル・セラピーの何よりの癒やし
アニマル・セラピーには、大きな効果が2つあります。1つは、癒し効果です。
ヒトに慣れている動物と触れ合っていると、動物が嬉しそうに反応してくれます。
そこで生まれる言葉によらない(ノンバーバルな)コミュニケーションが、患者さんにとって何よりの癒しになるのです。
孤独で寂しい思いを紛らわす
裏を返すと、そんなささいな関わりすら嬉しく感じられるほど、認知症患者さんは孤独で寂しい思いをしているともいえます。
動物の話題を介して、他の人たちとコミュニケーションをとるきっかけも得られるでしょう。
気持ちが穏やかになる
もう1つは、動物を撫でると生理的な効果も期待できます。
犬や猫などの毛を優しく撫でると、喜んでくれます。それと同時に、撫でている側も、穏やかな気持ちになるのです。
これは気のせいではなく、脳内で分泌されるホルモンによるものです。
脳内に「母性のホルモン」が分泌
このとき、脳内では「オキシトシン」や「セロトニン」といったホルモンが分泌されています。
オキシトシンは別名「母性のホルモン」とも呼ばれており、授乳中のお母さんの脳内で盛んに分泌されて母乳の分泌を促しています。
撫でられている動物にも、オキシトシンは分泌されているそうです。【次回に続く】
※本稿は、『91歳の現役医師がやっている 一生ボケない習慣』より一部を抜粋・編集したものです。