宅建業者の落ち度は?

 下記は、判決の内容を要約したものです。

“ビル解体後、隣のビルの外壁を放置すれば外壁の剥落が起きる状況にあり、売主業者は「予見」できたと自認していることや、売主業者が売買契約の売主として建物を解体して買主Xに引き渡すべき義務を負っていたことからすると、外壁剥離によって「土地の利用が妨げられる可能性」を説明し「対処」を促すべき法律上の義務を負っていたと評価するのが相当である。”

 この「予見」はとても重要です。元々予想がつくことなら、説明や対処を促すことは売主や宅建業者の義務だということです。

 この裁判、外壁の剥離が起きたのは、解体工事のせいではなく、建物自体の自然劣化によるものと認められ、ビルオーナーの設置保存の瑕疵、工作物責任に基づきビルオーナーにも損害賠償が認められました。

 さて今回の事件、宅建業者はどうすればトラブルを回避できたのでしょうか。教訓はこちらです。

①外壁剥離の可能性を認識した時点で買主に説明する
②対処方針をすぐに協議する

 このように取り壊し予定で先に契約すると、取り壊している最中に予想外のことが起こることがあります。その際には、隠したり見ないふりをするのではなく、その時点で説明して徹底的に協議することが、傷口を塞ぐ最良の方法ではないでしょうか。