短時間で成果を出している人がいる一方、頑張っているのに成果が出ない人もいる。この違いは何だろう? 経営の最前線で20年以上、成果上げられる人と上げられない人の差を徹底研究してきた人物がいる。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の木下勝寿社長だ。「20年に一冊の本」とミリオンセラー会計士に絶賛された『売上最小化、利益最大化の法則』に続き、「やる気に頼らず楽しく続けられる」と話題となっているのがベストセラー『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。【がっちりマンデー!!】(TBSテレビ系)のSNSで、「ニトリ」似鳥会長と「食べチョク」秋元代表から「2022年に読んだオススメ本3選」に選抜され話題となっている。本稿では、本書より一部を抜粋、「最短時間で最大の成果を出す方法」を紹介する。

「人のせいにする人」と「人のせいにしない人」のほんのわずかな差とは?

この世に仕方のないことは存在しない理由

 前回、「上司から評価される人、されない人の決定的な差」を紹介したが、もう少し詳しく触れたいことがある。

 失敗やミスの原因を説明する際、

「今回は外部要因であり、仕方なかった」「自分の責任ではない」という「思考アルゴリズム」(考え方のクセ)の人と、

「自分が◯◯すればよかった。自分の責任だ」という「思考アルゴリズム」の人がいる。

 前者のように、

「今回は想定外のことが起きたのでミスが起きました(だから仕方がなかったのです。私のせいではありません)」

 と考える人は、次に想定外のことが起きたときにも同じようにミスをする

 後者のように、

「今回◯◯ということが起きたのでミスが起きました。事前に深く考えていれば◯◯が起きることは想定できたはずです。今回は私の想定不足です」

 と考える人は、これをきっかけに「想定範囲」を広げ、「想定外のミスが起きる確率」が減る。

 よって大きなミスをする確率も減る

 たとえば大雪で電車が遅れ、遅刻したとしよう。

 前者は「電車が止まったから仕方がない」と考え、後者は「冬は毎日前日に天気予報で大雪の可能性を予測し、早めに家を出よう」と考える。

 はっきり言おう。

 この世に本当の意味で「仕方のない」ことなど存在しない

 道に迷う人は方向音痴だから迷っているのではなく、方向音痴なのに地図を持たない(スマホなどで地図を見ない)から迷っている。

 ミスが多い人は、ミスの発生率が高いのではなく、チェックをしないからミスが多い。

 タスクを忘れる人は、忘れっぽいからではなく、「わかるようにメモしていない」から忘れてしまう。

 本人は生まれ持った性格のせいにするが、実はちょっとした努力不足が犯人だ。

 反対にいえば、ちょっとした努力でミスはなくなり、上司や同僚からの信用は一段と高まる。

中堅・ベテランも危険!
経験がミスを生むことも

 ちなみに、経験がミスを生むこともあるという話をつけ加えておこう。

 上司が「○○という製品に関する情報を検索して」とAさんとBさんに依頼したとする。

 Aさんは「探したけれどありませんでした」、Bさんは「3件の情報が見つかりました」と言ってきた。

 この場合、見つけられなかったAさんは、「普段から検索エンジンを使い慣れている人」、見つけたBさんは「検索エンジンを使い慣れていない人や新人」だった。

 書き間違いではない

「普段から検索エンジンを使い慣れているAさん」は、検索エンジンにキーワードを入れると、検索結果の最初の5ページ以内で必要な情報にたどり着く。

 それが固定観念となり、「検索結果の最初の5ページ以内で見つからないと情報はない」と判断した。

 ところが、「検索エンジンを使い慣れていないBさん」はそもそもの目安がないので、5ページで見つからなければ、10ページでも20ページでも、時には検索ワードを変えながら探し続けた。

 すると、時間はかかっても情報を見つけられたのだ。

 このように、「簡単にすぐ見つかる情報」なら経験のあるAさんに頼んだほうが早いが、「見つけにくい情報」だと固定観念が邪魔をして、見つける能力が極端に下がってしまう。

 人は「知識」「経験」を積むことで生まれる「思い込み」「固定観念」によって本来は無限の可能性のある自分の能力を封印してしまうこともあるのだ。

 互いに戒めとして気をつけよう。

(本稿は『時間最短化、成果最大化の法則』の一部を抜粋・編集したものです)