慶應で2年連続入部ゼロの危機
一橋大では一度復活も再び消滅

「非常事態なのでOBがもっと関与していくべきだ」。今春、慶應の三田キャンパス内で開かれた弁論部OB会の常任幹事らは、現役生の支援を強化する方針を全会一致で決めた。

 慶應の弁論部は日吉と藤沢で別々に活動している。しかし、日吉は新型コロナの影響で昨年、一昨年と入部した部員はなんとゼロ。今年も新入生の獲得に失敗すれば、現役生がゼロとなり、部は事実上活動できなくなる。

 方針決定を受け、OBで元衆院議員の林潤氏らが中心となり、新歓での部員勧誘もてこ入れした結果、今年は十数人が入部することが決まった。部の存続危機は回避されたのだ。林氏は「一安心。ただ、弁論の練習などOBが手厚く支援していかなければならない」と話す。

 実は、弁論部が消滅した大学は珍しくはない。

 一橋大学では、今から35年前、戦前に存在した弁論部が再興された。中心となったのが、市村浩一郎衆院議員(4期、日本維新の会)である。戦前の弁論部には外相や蔵相などを歴任した故渡辺美智雄氏が在籍していたとされる。

「われわれ世代は『新人類』などと呼ばれていたが、仲間で社会や政治について議論をしたいと考えた」(市村氏)。有志を集め、弁論部を名乗り、数年で大学に正式に登録された。その後、大学対抗のディベート選手権で入賞するなど実績を上げたものの、10年ほどで自然消滅したという。

 また、戦前に創設された法政大学でも弁論部の歴史は一度途絶えているほか、一時期、活動が活発だった防衛大学校の弁論部も「ここ数年は活動している様子がない」(別の大学の現役弁論部員)という。

 では、早慶などと同じく100年以上の歴史を持つ、明治大学や中央大学の弁論部の活動状況はどうだろうか。