立憲・泉代表は
小沢氏と決別すべきだ

 一方の社会安定党とは、自民党・公明党の連立与党を、立民・社民党・共産党・れいわ新選組などが補完するグループだ。この中に含まれる左派野党は、前述の通り自民党にのみ込まれ、実質的に「同じグループ」を形成してしまっている。

 もう少し踏み込んで説明すると、自民党は英国の「保守党」と「労働党」を合わせたような「包括政党(キャッチ・オール・パーティー)」という特徴を持つ(第169回・p3)。

 いわば、自民党は日本国民のニーズに幅広く対応できる、政策的にはなんでもありの政党だ。野党との違いを明確にするのではなく「野党と似た政策に予算を付けて実行し、野党の存在を消してしまう」のが自民党の戦い方である。

 現在の岸田内閣も、左派野党が「弱者救済」を訴えれば「野党の皆さんもおっしゃっているので」と躊躇(ちゅうちょ)なく予算を付けて実行できる。その場合、もちろん自民党の実績となる。だから、左派野党は事実上の「自民党の補完勢力」から抜け出せないのだ。

 今後は左派野党が望むと望まざるとにかかわらず、この対立軸が主流になっていくだろう。

 だが立民や維新は、いまだに政治を「左と右」の古い対立軸で見ているのだろう。立民が共産党との共闘に踏み切ろうとしている背景にも、「自民党=保守」という“化石”のような発想が根強く残っているように思えてならない。

 維新も「右か左か」という旧来型の考え方にとどまり、自民党が再び右寄りになることを恐れている印象だ。維新は「デジタル・イノベーション党」からの支持を得るという手もあるはずだが、政治の外側に自らの活路があることに気付いていないのだろう(第329回・p5)。

 では、立民と維新は、現状打破のためにどうすべきか。

 まず立民の泉代表は、共産党との共闘を模索する小沢氏などの党内左派と決別し、党を割るべきではないか。国民民主党や維新との合流を念頭に置き、連携を進めるのも手だ。維新側も、泉代表が労組と縁を切れば、連携への障害はないはずだ。

 もしこの案が実現すれば、2017年10月総選挙時の「希望の党」の再現となる。17年以降動きが止まった日本政治が、ようやく動き始める時だ。泉代表は変化の潮流をつかみ、今こそ行動すべきである。

 一方、維新は自民党に代わる「国家像」を国民に提示すべきだ。