被告と弁護人の主張が
食い違う可能性も

 一方、弁護側がどう主張するかが一つの焦点だ。

 前述のデスクによると、青葉被告は逮捕以降、犯行の動機について「自分の作品をパクられた」との供述を変えていない。京アニ側は完全否定しており、そのような事実はないというのが一般的な見方だが、もし万が一、そのような部分が見つかったら、至極まっとうな判断能力があったという証拠で死刑一択しかない。

 弁護側はそれを避けるべく「心神耗弱」「心神喪失」を主張するしかないが、もはや「無敵の人」(注:社会的に失うものがないため、犯罪などを起こすことに何のちゅうちょもない人を指す)である青葉被告が、弁護側の「ありもしない妄想で犯行に至った」という主張を受け入れるかどうか。

 青葉被告が命乞い(死刑→無期懲役)のために「自分がしたことは勘違い・間違いでした。すみません」と頭を下げるだろうか。それができるなら、その謝罪行為そのものもまっとうな判断能力があるという証拠になってしまう(そうだとしても、弁護側は「犯行当時は正常ではなかった」と主張するだろうが)。

 青葉被告も死刑回避など望んではいまい。イレギュラーではあるが、被告人と弁護人の主張が食い違うチグハグな展開も予想される。冒頭「計25回の公判」と記したが、こうしたケースは途中で弁護人の解任、もしくは辞任という可能性もはらむ。

 そうなれば公判の中断・延期、判決言い渡しの先送りは必至で、一般市民である裁判員には日常生活に支障が出る恐れがあり、途中で辞任を申し出るなど混乱は避けられない。開廷前から既に波乱含みなのだ。