上司は社員のどこを見て評価しているのだろう? そう気になったことはないだろうか。上司は部下に何を求めていて、どうすれば出世につながるのだろう。
そこで参考になるのが、『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。優秀なビジネスパーソンに共通する思考アルゴリズム(考え方のクセ)が、見事に解説されている。
著者は、北の達人コーポレーション(東証プライム上場)社長・木下勝寿氏。ベストセラーとなっている本書は、多くの経営者やビジネスパーソンから評判の一冊だ。
そこで、本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回、本書を読み解くのは、企業現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント・横山信弘氏だ。最新刊『キミが信頼されないのは話が「ズレてる」だけなんだ』や衝撃のデビュー作『絶対達成する部下の育て方』などのベストセラー作家でもある横山氏は、『時間最短化、成果最大化の法則』をどう読み解いたのか。連載7回目は、「上司に気に入られる人の特徴」をテーマに話を聞いた。(構成・川代紗生)
プラスを増やすより、マイナスを減らす
──横山さんはコンサルタントとして企業の現場に入り、さまざまな職場の問題改善に取り組んでいますよね。またご自身も、株式会社アタックス・セールス・アソシエイツの社長として人材育成に取り組んでこられたと思います。
そこでお聞きしたいのですが、上司経験が長い横山さんだからこそわかる、「上司に気に入られる人の特徴」ベスト1をあげるとしたら、何だと思いますか?
横山信弘(以下、横山):当たり前のことを当たり前にやってくれる人。これに尽きると思います。
──意外です! てっきり、コミュニケーション力の高さなどが大事なのかなと思っていました。
横山:小手先のごますりやヨイショは、私たちよりも上の世代、つまり、50代・60代くらいの人にしか通用しないと思います。
プライベートでも仲良くしようとしたり、やたら甘えたりしようとする人がいますが、そんなことに時間を使うくらいなら、自分の「欠落的欠点」を減らす努力をしたほうがいい。
管理職はとにかく忙しいので、ストレスなく働ける人、一緒に気持ちよく働ける人を評価します。
「プラスを増やすより、マイナスを減らす」ほうが、はるかに気に入られる確率が高まるし、再現性も高いのです。
成果を一夜にして台無しにする
「3大欠落的欠点」とは?
──自分の「欠落的欠点」を減らす努力とは、具体的にはどういうことですか?
横山:『時間最短化、成果最大化の法則』にも「成果を一夜にして台無しにする『3大欠落的欠点』の法則」がありますが、私もこれに共感しました。
「1.ケアレスミス」「2.スケジュール管理ミス」「3.タスク漏れ」などの3大欠落的欠点は、足かせみたいなもの。「長所で補えばいい」という人もいますが、欠落的欠点がなければ大きな評価を受けていたはずの長所が、短所を補うために打ち消されてしまうって、もったいないじゃないですか。致命的な欠点には、その人の長所を台無しにしてしまう可能性もあるのです。
本書には、こんなことが書かれています。
人は自分の欠点から「無意識」に目をそらす。
短所から逃げるために、長所磨きにいそしむ。
だから欠点として残り続けるし、欠点だと気づかない。それが成果を上げられない要因になってしまうのだ。(P.162)
──ドキッとしました。長所ではカバーしきれない欠落的欠点があるんですね。
横山:「いつもご迷惑をかけていますが、僕、こんなにがんばってます!」といったアピールやごますりは、ほとんどの場合、上司に見抜かれていると思います。
上司にとっては、「きっちり時間どおりにくる」「資料を期限どおりに提出する」「会議の準備は十全にしておく」など、当たり前のことを当たり前にやってくれるのが、いちばんありがたいのです。
画期的な発想をしてくれる人よりも、ストレスなくスムーズに仕事できる人のほうが、長い目で見れば、いろんなところで重宝されると思います。
「結果を出せ」と言われる前に結果を出す
──ただ、一見、問題児っぽい人がかわいがられたりすることもあると思うんです。
「まったくお前は、しっかりしろよな!」みたいに、抜けてるところがたくさんあるけど、コミュニケーション能力が高いから、上司に気に入られやすい人って、いるじゃないですか。
横山:たしかに、そういう「憎めないキャラクター」の社員をかわいがる上司もいますよね。
いつもミスしてばっかりの人がミスしてもお咎めなしなのに、いつもまじめにがんばっている人がミスすると、失望される。そういうことが続くと、真面目にがんばっているのがバカらしく思えてきますよね。
ただはっきり言って、「当たり前のことを当たり前にやってくれる人」を評価できないのは、上司側の問題です。
デキる上司ほど、そういう人をきちんと評価し、逆に、アピール上手なだけの人は見破ります。
「当たり前のことを当たり前にできる人」は、実はとても少ないです。
逆に言えば、それができるだけで圧倒的な差になるということ。
「欠点を改善したほうがいいのはわかっているが、どうすればミスを減らせるのかわからない」という人は、一度本書を読んでトライしてみてはいかがでしょうか。
「メールのミスが多い人は、『チェック作業はメール作成時間の5割』をルール化する」
「ミスがなくなる最強チェックシートの作り方」
など、具体的な対処法も書かれています。
毎日少しずつ続けていけば、圧倒的な成果が出せるようになっているはずです。成果さえ出せれば、「上司に気に入られるかどうか」なども気にしなくてよくなります。
極端な話、「結果を出せ」と言われる前に結果を出す。
それぐらいの気持ちが大切です。
合言葉は「先手必勝」。
上司から指摘される前に、先回りするスタンスでいきましょう!
企業の現場に入り、営業目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の考案者として知られる。15年間で3000回以上のセミナーや書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。現在YouTubeチャンネル「予材管理大学」が人気を博し、経営者、営業マネジャーが視聴する。『絶対達成する部下の育て方』など「絶対達成」シリーズの著者であり、多くはアジアを中心に翻訳版が発売されている。