モテるワイン・マナーその4
ホストテイスティングで「ぐるぐる」はNG
ワインは色、香り、味わい、余韻を含め、五感を刺激する飲み物です。第一アロマ(ブドウの品種に由来する香り)から第三アロマ(熟成による香り)まで時間の経過と共に変化し、これほど感性に訴えかけるお酒は他にありません。
その色合いも多種多様で、香りも花やフルーツの香りから、トーストなどの焦げ香、なめし革など動物の香りまで200種類以上あるといわれています。さらに、ブドウが収穫された土地(テロワール)の環境、生産者の思い、熟成のための年月をかけて、今私たちの目の前にあります。そのワインが醸し出すロマンを、愛する人と最大限に慈しみたいものです。
アペリティフの間に会話を楽しみながら、ゆっくりとメニューを見つつ食事に合わせたワインを選ぶ時間は、デートの醍醐味です。フランス在住時代、デートを楽しむカップルを観察したところ、まず食前酒のスパークリングワインを飲みながらメニューを眺め、その後ボトルワインを注文し、「このボトルが空になるまでが二人の時間だね」と語らうかのように、ゆっくりと楽しんでいました。
さて、ワイン選びの話に戻りましょう。ソムリエがいるレストランなら、相手の好みをそのまま伝えて、ソムリエにセレクトしてもらうのもアリです。が、次の“関門”として「テイスティング」が待っています。ここでスマートに振る舞えれば、“紳士度”は各段にアップします。
ワインボトルを開けたら、まず選んだ人(ホスト)のグラスにワインが少量注がれます。これを、ワインの健全度を確かめる「ホストテイスティング」と言います。香りをかぎ、少量を口に含んで、ワインが劣化していないか、好みの温度かどうかを確かめたら「お願いします」と言いましょう。
ここで注意してほしいのは、ドラマやマンガに出てくるような「ぐるぐる」はしないこと。スワリング(ワイングラスを回すこと)して、じっくり時間をかけてしまうと、相手を待たせることに。この儀式はあくまで端的にさらりと行うのがスマートです。
「ワインに健全度があるのか…」と思った人もいるかもしれません。ワイン用語では「不健全なワイン」という言い回しもします。ではそれは、どんなワインなのでしょうか?