プレハブなど、他の選択肢と比べてみる

 世界に目を向けると、3Dプリンター住宅は数年前から実用化されていて、たとえばアメリカでは各地で10~100軒規模の3Dプリンター住宅の販売が開始もしくは開始予定である。業界のパイオニアである「ICON」という企業がカリフォルニア州のコーチェラやテキサス州のジョージタウンに造った3Dプリンター住宅(参考)はスタイリッシュでとてもきれいだが、価格はそこそこしていて、後者の物件であれば約140~195平方メートルで47.5万~59万ドル(約7000万~8700万円)という設定である。

 住宅は世界的に、材料費の高騰から値上がりしていて、特に近年のウッドショックで木材が高くなっている。セレンディクスのフジツボモデルが世界的に注目されたのは、安さと、ウッドショックに左右されない価格の安定性であった。

 さて、本格的に検討を始めるのだが、では廉価で手に入る住宅として他の選択肢を、同じテーブルに並べて見比べてみたい。

 まずはプレハブである。プレハブも調べてみれば安いものから高級なものまでさまざまあって、高級なものほど断熱性、強度、防音効果などがしっかりしているのがわかる。試しにヨドコウというメーカーの30畳(約49平方メートル)で、340万円強と出た。納期は、販売しているサイトによってバラツキがあるが、1~3カ月後となっている。

 続いてユニットハウスはどうか。ユニットハウスとは、箱型のユニットをいくつか自由に連棟(連結)させて作ることができる家で、プレハブに比べて工期が大幅に短いという特徴もある。「ユニットハウス」で検索するといろいろな物件が出てきすぎてよくわからなくなってしまうのだが、その中にベーシックな箱型デザインで約50平方メートルの中古、約240万円(配送費諸々込みで約310万円)という物件を発見した。

 続いてトレーラーハウスである。一般の住宅と比べて特殊な点は、「トラックで牽引(けんいん)可能」「不動産ではないため、固定資産税、不動産取得税がかからない」などが挙げられる。「トラックで牽引」となるとやはり真っ先に無機質なコンテナのようなイメージが浮かんでくるが、材質には木造も鉄骨もあり、平屋も二階建てもある。さらに、ウッドデッキをつけることもできたりするらしい。トレーラーハウスという選択肢がなかなか酔狂なので、かなりおしゃれなものも多い。個人的には、「日常に退屈を感じたら――明日は違う土地へ――」という具合に、CMのキャッチコピーのようなあんばいで簡単に新生活が始められる気楽さというか、無軌道さを可能としてくれるところにおじさん的ロマンを覚える。

 これも値段やクオリティーはピンキリだが、安くて数百万円~、それなりにかっこいいものに住もうと思えば1000万円は超えそうである。ただし税金の面では有利なので、そこをどう捉えるかであろう。