テレビの前の散らかり具合を見たとき、夫の定位置はソファの左側だと確信しました。それに対して妻の定位置は、夫の真後ろの椅子。そして横に並んで座っているのがお母さまです。

なぜ、妻の自己肯定感が下がっていると推測したのか

 これはまさに“劇場スタイル”。テレビを観るとき、まるで劇場で夫が前の席、少し離れた後ろの席に女性2人が仲良く座っているかのようなのです。つまり、妻はいつも夫の背中越しにテレビを観ているということになります。この位置関係で、夫と妻がテレビを観ながら会話ができるでしょうか。

 それどころか、ソファの周りの散らかり具合を見て、きっと妻は「まったく、帰ったらソファでグダッとして、家のことも手伝ってくれないで!」ってなりますよね。そして妻とお母さまが会話することになります。この2人の会話は、夫には聞こえません。夫の心の声は「女どもが後ろでこそこそと話しやがって」となるわけです。こうしていつの間にか夫婦お互いの不満がたまっていきます。

 もし、ここでダイニングの椅子を新しく替えても、問題は何も解決されません。このままいったら、夫婦がけんかしたり、家族の会話が10年もない。そんなことにもなりかねません。

 では、なぜ、妻は自己肯定感が下がっていると推測したのか。ソファ周りは夫のものが散らかり放題、つまり、夫の「なわばり」と化していました。妻は夫がくつろいでいるテレビとソファ周りに近づくことができません。そうなると、妻はダイニングの椅子に座るしかありません。でも、そこで好きな本を読もうにも、前からはテレビの音、隣に座る母は、自分の後ろを行き来する。みんなの邪魔者のようで、リビングで落ち着ける居場所がなかったのです。