人生後半をペットと過ごすことが生み出す効果
健康、人との出会い、かすがい……
ペットとの暮らしは、人生の幸福度や健康状態の向上に大きな効果があることも分かっている。最近では、病院や介護施設でも「アニマルセラピー」を取り入れるところが増えてきた。
・心と体の健康効果
ペットを迎えると、日常生活はそれまでとは大きく変化する。なにより愛くるしい小さな命の存在は、大きな癒やしを連れてきてくれる。ストレスや不安を軽減するオキシトシンが、動物とのふれあいで増えることも分かっている。
また、食事やトイレの世話、日々のケアや通院など、やることが増えると生活に張りが出て生き生きと暮らせる。犬ならば毎日の散歩が必要なため、自然と歩く習慣が身につく。活発な猫の場合、おもちゃで遊んであげるだけでも飼い主の運動量は増えるだろう。
国立環境研究所や東京都健康長寿医療センターの研究チームが、2022年2月23日に科学誌「PLOS ONE」に発表した調査結果では、高齢者が犬を飼うことで介護や死亡のリスクが半減するという。
・人付き合い、交友関係の広がり
また、ペットを迎えると近隣への配慮が必要になるが、同じペットを飼育する人との出会いや付き合いが生まれることも多い。年齢を重ねると、新たな出会いの機会は少なくなりがちだ。同じ趣味を持った仲間が増え、充実した時間が手に入るだろう。
・「かすがい」としての存在
“子育てが一段落した”“子どもが独立して時間ができた”という理由でペットを迎える人も多い。時間だけでなく「世話をする対象が欲しい」「愛情をかけたい」という回答もある。
ペットの存在は、まるで子どもが増えたような雰囲気をつれてくるため「夫婦の会話が増えた」「ペットと一緒に家族で写真を撮る機会が増えた」という声も聞く。ペットを迎えた理由でも“家族や夫婦間のコミュニケーションに役立つと思った”という回答が14.2%となっており、その成果は大いにあるようだ。