産油国による協調減産で原油相場は押し上げられてきた。10月に入り米金利高・ドル高で下落に転じるも、イスラエル・ガザ紛争で再び上昇圧力が強まり、高止まりした水準で推移している。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)
産油国の供給削減策が
原油相場を押し上げ
夏場以降、原油相場は上昇傾向にあり、8月後半に騰勢が一服したが、9月は再び騰勢を強めた。9月28日に米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は一時1バレル当たり95.03ドルと2022年8月下旬以来、欧州北海産のブレントは97.69ドルと2022年11月上旬以来の高値を付けた。その後は、上下動の激しい不安定な動きをしつつ高止まりしている。
8月後半には中国景気の弱さや、米長期金利上昇・ドル高に焦点が当たって、原油の上値が重くなった。
しかし、月末には、ロシアがOPEC(石油輸出国機構)および非OPEC産油国で構成する「OPECプラス」との間で新たな原油供給削減策で合意し、翌週に内容を公表すると報道されたことで、サウジアラビアが10月以降も自主減産を延長することなどが連想され、原油相場は押し上げられた。
次ページ以降、9月末にかけて高値を付けるまでの動きとその後の不安定な相場とその要因を検証していく。