スマホ時代になって、長い文章が嫌われるようになった。そこでコピーライティングの第一人者、神田昌典氏25年の集大成『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』の中から、スマホ時代に対応した「適度な行間を取るテクニック」を抜粋して紹介する。

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一晩寝かせる意味

 書いた文章を練り上げ、校正し、仕上げるのに効率的な方法は、文章を「寝かせる」ことだ。

 LP・セールスレターを書いたら、最低でも「一晩寝かせる」

 一晩寝て、朝起きて見直すと、あれほどすばらしいと思ったものが、なんともしょぼく感じたり、違和感が出たりするケースが多い。

 特に、夜中に書いたものを朝見直すと、ひどいケースが多々ある。

 校正段階でも、一晩寝かせて見直すと、論理展開の不自然さに気づく。

 自分が書いた文章だとわからないのに、人が書いた文章だと変な箇所が一発でわかる。

 「文章を寝かせる」ことで、自分が書いた文章を、ある種他人の目で見られるのだ。

 基本的な誤字・脱字はワードなどの文章作成ソフトでチェックできるが、文法的に間違っていない箇所は発見できないので、最後は自分やまわりのスタッフで丁寧に確認するしかない。

翌日より、翌々日に見直す

 さらに効果があるのは、翌日より、翌々日に見直すこと。

 時間が空けばそれだけ客観的になれる。

 一方、締切があるので、この間隔は長くは取りにくいが、絶対にやめるべきなのは、徹夜してギリギリまで書き、そのまま完成品とすること。

 最低3日、できれば5日くらいのブラッシュアップ期間を取っておこう。

 「そんなに時間をかけるものなの?」と思うかもしれないが、「5日かける=丸5日作業する」という意味ではない。

 文章を寝かせるのは、概ね完成段階でのこと。

 最初から最後まで通しで読んでいき、違和感のあるところをその都度修正する。1回60分程度。それを3~5日くらい読み手目線で見直す。

 これを繰り返すことで、読み手のストレスに配慮した細部まで磨き上げられた文章に仕上がっていく。

 彫刻品をサンドペーパーで、粗い目から細かい目に変えながら丹念に磨くと、ピカピカ、スベスベに変わる。あのような感じだ。

 どうしても一晩寝かせられない場合は、数時間だけでも寝かせよう。

 その場合、頭を切り替えるために、極力違うことをするのが望ましい。

 昔からシャワーを浴びているときやお風呂に浸かっているときに面白いアイデアが浮かびやすいといわれるが、体を動かす、違う仕事をする、遊ぶなど、いったん脳をリセットして文章を見直すと、思いがけない発見があるものだ。

(本原稿は、神田昌典・衣田順一著『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』からの抜粋です)