爆速成長を遂げてきた国内発のコンサルティングファーム、ベイカレント・コンサルティングが、市場の厳しい評価にさらされている。決算直後に株価がストップ安となるなど、さながら「ベイカレント・ショック」の様相なのだ。実は、同社の株価が急反落した背景は、三つのKPI(重要業績評価指標)を深掘りすることで浮き彫りとなる。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、同社の先行きを見る上でも重要な三つのKPIについて、徹底解説する。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
2割超の増収増益でも
「ストップ安」の逆風
2割超の増収増益でもストップ安――。東証プライム市場に上場するコンサルティングファーム、ベイカレント・コンサルティングの2023年度中間決算(23年3~8月期)結果を巡り、市場の反応は手厳しいものだった。
売上高は前年同期比25%増の437億円、営業利益は23%増の155億円。高成長を維持しているにもかかわらず、株式市場では投資家の売りが殺到したのだ。ベイカレントの株価は、決算発表の翌営業日の10月16日、ストップ安まで売り込まれた。さらに20日には、終値ベースで約1年ぶりの安値水準に落ち込み、さながら“ベイカレント・ショック”の様相となったのだ。
JPモルガン証券でベイカレントの分析を担当するアナリスト、ヘンダーソン真秀氏は、市場の一連の反応について「さすがに過剰だったのではないか」と指摘する。年初から株価が高値圏で推移し、成長期待が高まっていた中で、金利上昇をはじめとしたグロース(成長)株への逆風などを受け、一気に売り込まれた面もあるようだ。
確かに業績自体は成長軌道を保っており、同社のビジネスモデルの根幹が崩れたわけではないだろう。これまで外資系ファームと異なる強みを生かして、高成長を遂げてきたことは、本連載の以前の記事で述べた通りだ(『国内発コンサル「ベイカレント」爆速成長中!BIG4ら外資系にはない“3つの強み”』参照)。
もっとも、つぶさに最近の状況をみると、盤石とまでは言いきれない姿も浮かび上がる。ポイントとなるのは、コンサル業態にとって重要指標となる「単価」と「稼働率」、「採用人数」である。次ページ以降では、ベイカレントの三つのKPI(重要業績評価指標)を見ながら、株価が失速した背景を明らかにするほか、三つのKPIの数字から浮かび上がる不安の芽を明らかにする。