コスメのパッケージには
二人の「ナナ」の懐かしい姿

 NANAといえば、女性から圧倒的支持を受けている漫画家・矢沢あいさんが『Cookie』(集英社)で連載していた伝説的作品です。累計5000万部の売り上げを誇りますが、09年に矢沢さんの体調不良を理由に連載を突如休止。23年現在も再開時期は未定のままです。

 コラボ化粧品のパッケージには、二人の主人公「小松奈々」「大崎ナナ」の懐かしいビジュアルが描かれています。これが日本のZ世代にウケているようなのです。

伝説の少女漫画「NANA」に「VHS」「槇原敬之」…Z世代“平成レトロブーム”の中身が意外すぎた(C)Yazawa Manga Seisakusho /SHUEISHA 出典:ニュースリリース

 ただ正確に言うと、このコラボ化粧品はもともと中国本土向けに企画されたものでした。中国のファンをターゲットに販売がスタートしたところ、日本のZ世代が「販売代行サイト」などを駆使して手に入れるようになったとのこと。

 調査の一環で筆者が話を聞いた日本人の若者は、このコラボ化粧品について次のように評価していました。

「Y2Kトレンドの『ど真ん中』であるNANAと、中華コスメの初コラボということで話題になりました。作中でキャラが使っている配色のコスメや、タトゥーを再現したシールを自分でも使うことで、簡単に憧れのキャラになりきれるのが魅力です」

 どうやら今の若者は「LINEマンガ」「ピッコマ」「コミックシーモア」などの漫画アプリを駆使して、NANAなど2000年代に人気を誇った作品に触れ、その世界観のファンになっているようなのです。

 Y2Kブームが、今ほど盛り上がっていなかった5~6年前であれば、若者たちは「NANA?お母さんは読んでいたけど、自分はあんまり…」といった反応を示したかもしれません。

 そこから一転、平成レトロが注目され、漫画アプリが普及した今では、NANAのコラボ化粧品は「販売代行を使ってでも買いたい魅力的グッズ」と化したのです。

 今回、NANAのコラボ相手は中国企業でしたが、もし日本の大手化粧品メーカーが「平成の人気コンテンツ」とコラボしたら、目の付けどころによっては大ヒットするでしょう。各社のマーケティング担当者は、海外企業に負けずにコラボ先を探すべきかもしれません。