「VHS」に「もう恋なんてしない」…
意外すぎる人気レトロコンテンツ
Z世代を対象とした調査では、海外企業が関わっているもの以外にも、多様なY2Kブームのトレンドが見えてきました。
ある大学生は、東京・下北沢に10月オープンした「VHS喫茶」の「TAN PEN TON」が気になっていると話してくれました。「ブラウン管テレビでショートフィルムを見られる」というユニークなコンセプトのお店です。
この若者は、高品質なデジタル映像や「Netflix」などの動画配信サービスが当たり前になった今、あえてビデオを見に行こうとしているわけです。
ちなみに、筆者が先日米国に出張した際、似たようなコンセプトの「レンタルビデオ店」を見かけました。お店の中にもVHSの視聴ブースがあるのですが、希望すればVHSだけでなくビデオデッキごと借りて帰り、家でも映画などを視聴できるのです。
米国でも注目されているとなると、これから「ビデオ」は本格的に再流行するかもしれません。レコードなどと同じく、レトロブームにおける重要アイテムだといえます。
最後にもう一つ、SNS上の興味深いトレンドを紹介しておきます。動画投稿サイト「TikTok」で、歌手・槇原敬之さんの代表曲「もう恋なんてしない」のリミックス版が爆発的に広がっていることをご存じでしょうか。
「もう恋なんてしない」は1992年(平成4年)にリリースされた懐かしい楽曲ですが、その曲調をドリルミュージック(ヒップホップの一種)風にアレンジし、リズムに合わせて踊る動画が「バズって」いるのです(もちろんリミックスを行ったのは槇原さん本人ではありません)。
興味のある方は「#槇原ドリル」で検索してみてください。若者による多種多様なダンス動画を見ることができます。その多くには数十万件の「いいね」がついており、Z世代の間での「熱量」を実感できるはずです。
ここしばらくの音楽シーンでは、竹内まりやさんの楽曲など「昭和シティポップ」ブームが国内外で盛り上がり、再び注目を集めてきました。ですが、最近のSNS上では、再流行するアーティストが昭和から平成にシフトしてきたといえます。
「もう恋なんてしない」はもちろんのこと、「NANAコラボ化粧品」「VHS」を若者が楽しむ世の中を、数年前の私たちは予測できたでしょうか。
筆者は今後も「どうしてこれが!?」と驚かされるような、懐かしいコンテンツに再び出合えることを期待しながら、Z世代におけるY2Kブームを追っていきます。