2つ目は、サスティナビリティテックです。テクノロジーの力で、脱炭素の実現や生物多様性の維持、循環型経済の確立に貢献できるスタートアップに注目しています。このような環境およびクリーンテック領域はもちろん、DXによって可視化されたデジタルデータを、経済活動の持続性を高める目的で利活用するベクトルは今後より強くなってくると考えており、この流れを加速させるスタートアップに注目しています。
3つ目はディープテック領域ですが、特に持続的で循環型の社会を支えるバイオエコノミーの進展に注目しています。ゲノム解読やゲノム編集といったバイオ分野の技術革新がAIや情報技術と融合することで、医療分野はもちろんのこと、環境エネルギー分野、素材・材料分野、食糧分野等においても重要な役割を担っていくと考えています。また、人類のエネルギー問題を根本的に変えてしまう大きな可能性を秘めた核融合技術の進歩にも注目しています。
4つ目は、Web3の社会実装です。個のエンパワーメントは不可逆なトレンドであり、それらを体現するWeb3の世界観はさまざまな領域に浸み出していくと考えていますが、その中でもマスアダプションが狙え、かつビジネスとしての持続性が高い、言うなればWeb3の社会実装に挑戦するスタートアップに注目しています。特にNFTによるクリエイターやプロジェクトのグローバルな資金調達やファンコミュニティ活性化、そしてマスアダプションに不可欠なインフラとなる決済やセキュリティ領域のソリューションに期待しています。
2023年に注目すべきスタートアップについて教えてください。投資先の場合は、その点を明示してください。
3社とも投資先です。1社目は、Scheemeです。日本における金融機関の戦略を概観してみると、メガバンクは、スタートアップ、中堅・大企業との取引や海外ビジネスに注力する傾向があり、地方銀行や信用金庫は、多くのSMB(Small and Medium Business、中堅・中小企業)を顧客として抱えているものの、一部の大手地銀を除いてUI/UXが優れているインターネットバンキングやモバイルアプリ、またOMO(Offline Merges with Online、オンラインとオフラインの融合)時代を見越したカスタマージャーニー設計が実現できておらず、SMB向けの金融ソリューションは大きな事業機会が存在していると考えています。そのような中で、「BlueBank」を提供するScheemeは、約400万社存在するSMB向けにモバイルバンキングアプリと動的な与信モデルを用いたクレジットカードを提供することで、SMB向けのチャレンジャーバンクを目指しています。