リリース当初、ベンチャー・スタートアップ企業を中心にサービスを展開し、順調に導入企業数を増やしていたが、コロナ禍で採用が止まったことから’伸び悩む時期が続いた。運営元のROXX代表取締役の中嶋汰朗氏によれば「初速は良かったけれども、コロナ禍で資金にも限りがあるベンチャー・スタートアップの多くが採用を止めてしまい、その影響を受けました。それがきっかけとなり、サービスのターゲットを見直すことにしたんです」と語る。
採用人数の母数が少ないベンチャー・スタートアップ企業よりも、採用人数の母数が大きい大企業を中心にサービスを展開する──この方針に切り替えたところ、再びback checkは成長曲線に乗り始めたという。例えば、多くの人が知る大手IT企業のほか、外資系のラグジュアリーブランドにも導入が決まっており、直近はARR(年間経常収益)は2倍ペースで成長中だという。
大企業へのサービス展開に注力していく中で、リファレンスチェックだけでなく「コンプライアンスチェック」に対するニーズが高くなっていたことから、オプションではなく“単独プラン”としての提供も開始している。
「例えば、アルバイトを採用する際にリファレンスチェックは必要ないけれど、最低限のコンプライアンスチェックはしておきたいというニーズは増えています。SNSなどによって不正が可視化されやすくなった時代だからこそ、企業は不正リスク減らすためにコンプライアンスを強化する流れはより顕著になってきているなと感じます」(中嶋氏)
“問題のある人”を入社させないようにする目的でもニーズが高まっているback checkだが、最近は入社後の「定着率」を意識して活用されるケースも増えてきているという。その背景にあるのが「人的資本経営」への関心の高まりだ。従業員の定着率といった人的資本に関する非財務情報の開示を求められていることから、企業はより“適した人材”を採用したいと考えるようになり、ミスマッチを減らすためにback checkが使われるようになっている。
「3年前は『そもそもリファレンスチェックって何?』『価値ある情報は取得できるの?』という声が多かったのですが、リファレンスチェックを実施する企業が増えてきたことで、リファレンスチェックという言葉もだいぶ普及したように思います」(中嶋氏)
さらなる事業投資を目的に、2022年11月にOne Capitalやグローバル・ブレイン、マイナビなどから10億円、そして先日Skyland Ventures、SMBCベンチャーキャピタルから数億円規模(金額は非公表)の資金調達を実施したROXX。今後、back checkは“ミスマッチを減らすこと”を軸にした新機能の開発に取り組んでいくという。中嶋氏は「さらにサービスを成長させ、まずは黒字化を実現していけたら」と語った。