ショップオーナーにとっては他店の商品と一緒に並べられてしまうモール型のアプリとは異なり、自分の商品だけを扱う独自アプリを作れるのが1つのメリットだ。またアプリにすることでプッシュ通知やクーポンを用いた販促施策を実施できるようにもなる。
プッシュ通知はメールと比べて開封率が約10倍高いとも言われており、コアなファンに対してお得な情報や新着情報を届ける手段としては効果的だ。ECサイトで集客をしつつ、既存顧客とはアプリを通じて関係性を深めていくといった使い分けもできる。アプリの購入情報や配送情報はすべてBASEに統合され、BASEの管理画面上から同じように運営できるため業務負荷が増える心配もない。
近年BASEではAPIを使って他社サービスとの連携を進めていて、Appifyもその中の1つ。スタートアップのD Technologiesが開発したものだ。同社代表取締役の福田涼介氏はコロナの影響からBASEを活用してオンライン上に販路を構える個人・企業が増えている状況に触れた上で、アプリを持つことがリピーター経由の売上拡大にも繋がると話す。
「ウェブのネットショップは接点のない顧客を集客するのに向いている一方で、必ずしも定着には向いていないと考えています。それを証明するように大企業は(ECサイトとは別に)独自のモバイルアプリを開発していますし、AmazonやZOZO、メルカリなどのサービスもアプリ化した上でユーザー向けにコミュニケーションを行なっています。新規顧客を獲得し続けることだけで売り上げを伸ばすには限界があるからこそ、関係性ができた顧客にアプリをインストールしてもらってプッシュ通知やクーポンを有効活用しながらロイヤルカスタマーになってもらうことが重要です。
この10年でウェブサイトやネットショップは誰でも簡単に作れるレベルになりましたが、アプリは個人や小規模なブランドが気軽に開発できる状態にはなっていない。自分たちがその状況を変えることで、ショップオーナーの人たちを少しでもサポートできればと考えています」(福田氏)
現時点では新着情報やクーポン情報を一斉にプッシュ通知で知らせることのできるシンプルな仕様だが、今後は「特定の商品にいいねをしている人」など行動データを基にセグメントを分けて通知を送れる機能も実装する計画だ。そのようなマーケティング施策を毎回ショップオーナーが自身でデータ分析して実行せずとも、Appify側から提案し半自動化に近い形で実現できるような仕組みを作ることで顧客の定着や関係性構築を後押ししたいという。