インターネット広告の世界では、アドテクノロジーの進化により、広告配信の改善はGoogleやFacebookといったプラットフォーマーのAIが自動で実現するようになった。そこで改善すべき領域として残されたのが、バナーやLPのクリエイティブ。だが、この部分は属人的で、アナログに取り組まれているのが現状だ。
「全国8200カ所、デザイナー数平均4、5人ぐらいのデザイン事務所が、それぞれの勘と経験からひとつひとつを手作業でクリエイティブを制作しています。いまだに遅くて高くて精度があいまいなものづくりの方法です。これに対して僕らは、データやディープラーニングの技術を活用することによって、AIが成果の上がるデザインを予測して、自動で高速に試作し、そこでだいたいの方針を決めたら、最後はAIのサポートを受けながら人間がデザインを作り込むというやり方をとっています」(中平氏)
「成果の上がるデザイン」を効率よく予測・試作・制作
AIR Design for LPで「成果の上がるデザイン」を予測し、試作し、制作するプロセスをもう少し具体的に見ていこう。予測のための学習データとなるLPは、インターネット上をクローリングして収集。出稿量や改善の回数などからスコアリングを行い、パフォーマンスの良し悪しを測定する。
そこから、成果の出そうなLPのデザインの構成要素を、AIによる画像解析「Reverse Design」で因数分解。完成されたデザインから、色やキャッチコピーのフォント、文字、使われている写真の被写体が占める面積、性別年齢、向きなどを把握する。
ガラパゴスでは、4万件のスコアリング・因数分解済みのLPをデータベース化し、「成果の上がるLPデザイン」の予測を可能にした。これにより、例えば「美容化粧品を20代の女性にこういう形で売りたい」というインプットがあれば、CVRの高い、パフォーマンスが良いと推測されるLPの構成順序や枠組みを、AIがレコメンドしてくれる。
レコメンドされるLPのパターンは1つではなく、複数個を高速に試作して提案してくれる。その中から選択したデザイン構成に合わせて、AIR DesignのライターがAIのサポートを受けながら、オーダー情報に合わせてコピーライティングを行い、ワイヤーフレームを完成。ラフデザインの初期工程もAIが自動で行い、最後の仕上げをAIR Designのデザイナーが担当する。
「このプロセスのいいところは、品質は高いんだけれども、従来よりも4倍速く制作できるところ。かつ安いので、デザインのパターン展開を同時に複数案、実施できます。同じ価格で5倍のデザインを試すことができる例もあり、毎月複数パターンでのA/Bテストを行って、改善して勝ちパターンを探すことで、CVRを上げることも可能になります」(中平氏)