2020年上半期の日本への外国人入国者数は409万人。新型コロナウイルスの影響で、前年同期と比べて1232万人余りの減少となっている。オリンピックへ向けてさらに膨らむはずだったインバウンド消費は大打撃を受け、特に旅行・観光業と小売業では大きな影響を被った。

一方、中長期在留者と特別永住者を合わせた在留外国人数は2020年6月末現在、288万人を超えている。この数字は2019年末時点の293万人に比べると約5万人の減少となってはいるものの、「新型コロナの影響下でも5万人しか減らなかった」という見方もできる。今でも300万人近い外国人が日本で暮らし続けているのだ。その中には幼少期から日本で育ち、日本語が堪能な人も少なくないが、「日本語も英語も母語ではなく不得手」という人も数多く存在する。

さらに経済回復へ向けて、人の往来が復活する兆しも出てきている。10月1日からは入国制限措置が全世界を対象に緩和され、中長期の在留資格を持つ外国人に日本への新規入国も認められるようになった。

制度として移民政策が採られているわけではないが、実質的には世界でも第7位と言われる指折りの移民大国となっている日本。中国や東アジア、東南アジアを中心に国籍・地域も言語も多様化する在留外国人に対し、自治体やインフラ企業、銀行などの金融機関や交通機関といった生活にかかわるサービスの提供者は、引き続き多言語化対応が求められている。

世界7位、300万人の移民大国日本のグラフ
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Wovn Technologiesのプロダクトについても、3月には三菱UFJ銀行がWOVN.ioを導入。サイトの一部で英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、ベトナム語に対応した。緊急事態宣言が発令された4月以降も、交通や金融、自治体など、国内の生活インフラサービスを提供する企業・組織で、サイトやアプリの多言語化がWOVN.ioやWOVN.appの導入によって進められている。

また上森氏は「大企業では、インバウンド対応も3カ年計画といった中長期で進めているところが多い」とコメント。「多言語化対応も多くの企業で引き続き進められています」と話している。

オンライン化の加速と大企業のグローバル化が多言語化を推進

上森氏はさらに「新型コロナの影響で、むしろ多言語化のニーズ、チャンスが広がっている」とも述べている。移動の制限を発端として「ヒト・モノ・カネの動きに制約ができた。この制約により、エンタープライズ企業、特に日本では製造業が変わったことが要因」と上森氏はいう。