「急にVR空間に入って『さぁ、喋ってください』と言っても慣れていない人には難しい。自然と他の参加者と会話が発生するゲームとなると、ボードゲームが良さそうだと考えました。中でも短時間でカジュアルにできて、多くの人が知っているものは何か。思い浮かんだのが人狼でした」(三上氏)

“嘘が苦手な人”でも楽しめるVR人狼

キャラクターバンクが開発中のANSUZは4名のプレイヤーが2つの勢力に分かれて戦うゲームだ。

現在開発を進めているVR人狼ゲーム「ANSUZ -アンスズ-」の体験画面
現在開発を進めているVR人狼ゲーム「ANSUZ -アンスズ-」の体験画面

プレイヤーはランダムに「善」か「悪」どちらかの役が割り当てられる。「善」のプレイヤーは「悪 」のプレイヤーを見つけ出すことがミッション。反対に「悪」のプレイヤーは「善」のプレイヤーに見つからなければ勝ちだ。

手軽に遊べることで人気の「ワンナイト人狼」に近く、1回のプレイ時間は数分程度とカジュアルに参加できるのが特徴。プレイヤーは用意されたアバターを使ってお互いの心理を読み合いながらゲームを進めていく。

「(テストプレイなどを通じて検証をしていると)普段は嘘をついたりするのが苦手な人でも嘘をつきやすくなるといったように、『アバター』を使ってキャラを演じることでおもしろい効果が生まれることがわかりました。オフラインでやる場合と比べるとお互いの表情がわかりにくいなどの制約はありますが、向いている方向や身振り手振りなど仕草の変化がわかることで、『音声だけの時よりも誰が怪しいか予想しやすくて楽しめた』という声も多かったです」(三上氏)

今のところ2020年内〜2021年明けのリリースを予定しており、無料で提供する方針(有料アバターなどで課金することは検討しているとのこと)。SteamVR、VIVEPORT、Oculus、Oculus Quest、Oculus Quest 2といったVRプラットフォームと端末への対応を計画しているという。

 

XRゲームのヒットコンテンツを生み出す開発会社目指す

冒頭でも触れた通り、今後キャラクターバンクではVR人狼ゲーム以外にも複数のタイトルを開発していくことを目指している。

まずはVRゲームが軸となるが、ゆくゆくはARやMRなども含めたXR領域のゲームやコンテンツを手掛ける構想。今回の資金調達はそのために人材採用を強化し、複数ラインで開発を進めていけるような体制を整えることが目的だ。

複数のVCや個人投資家から1億円の資金調達を実施。開発体制を強化するのが狙いだ
複数のVCや個人投資家から1億円の資金調達を実施。開発体制を強化するのが狙いだ

三上氏は国内におけるVRゲーム市場の現状を「スマホにおけるカジュアルゲームが少しずつ増え始めたタイミングに近い」と考えているという。

スマホゲームの黎明期から成長期にかけてはベンチャー企業を中心にさまざまな企業がゲーム開発に取り組んだ。特にここ10年弱で一気に広がったソーシャルゲームの領域では、ディー・エヌ・エーやグリー、コロプラなど事業を急拡大させた企業がいくつも生まれた。