「継続させるコツを身につけましょう」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
「報酬」によってひも付けしよう
行動をうまく「ひも付け」をするためには「報酬」と「キッカケ」が大事です。
小さな成功体験を意図的に作り出すことで「やってる感」を引き出すことができます。
達成感や充足感は、継続するために必要不可欠です。
ジンクスによって成功しても、失敗しても、ジンクスと行動のひも付けができたときには「簡単な報酬」を用意しておきましょう。
私の場合、この記事の執筆のため、米津玄師さんの「春雷」を聴きながら書きはじめるといい文章が書ける、というジンクスを作りました。
そして、ジンクスを守って作業をはじめられたなら、うまく文章が書けても、たとえ1文字も書けずに終わっても、「春雷」を聴きながら作業をはじめられたことの報酬としてスターバックスのチョコレートチャンククッキーを買ってあげるようにしました。
成功した日は、満足感によっておいしいクッキーが食べられますし、失敗してもクッキーによって自分自身を癒やすことができます。継続し続けるためには、こうやって脳を安心させるための「小さな報酬」が大切なのです。
そして、もう一つは、「キッカケ」です。
感情が起こるキッカケについて数字によって整理しましょう。
感情が起こるキッカケがどんなものかがわかっていれば、それを引き金にしたジンクスが作れます。
たとえば、職場で上司に叱責されたことがトラウマで、上司に報告しようとすることをキッカケに、イライラや自責の念が生まれるとしましょう。
この場合、「上司に報告するとき」に過去の刺激を反芻していると考えられます。
そこで、一日のうちで上司に報告する用事ができたときは、報告する前に、
「腕まくりをする」
「座右の銘をつぶやく」
「拳で机を軽くたたく」
など、自分を鼓舞するようにします。
すると、脳に過去の出来事とは異なる刺激を与えることができ、成功へのひも付けがおこなえます。
キッカケそのものは変わらずとも、成功へのジンクスを付け足すことができるのです。
ジンクスのひも付けは、こうやって私たちに勇気を与えてくれます。
戦場に向かう人たちは、日頃から厳しい訓練や、トレーニングを繰り返すことで、戦いへの失敗や恐怖を克服しているそうです。
「ジンクス」×「ひも付け」=「ハラ落ち」
によって、メンヘラになってしまう自分を克服し、ほんの少しでもラクに生きるように考え方を変えましょう。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』より一部を抜粋・編集したものです)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。