総予測2024#22記者会見する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長(右端)。左の写真は創始者の文鮮明氏(左)と総裁で妻の韓鶴子氏 Photo:JIJI

カリスマ教祖の死や、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求など、ビッグニュースが相次いだ2023年の宗教界。信者数の減少など巨大宗教を取り巻く環境は厳しさを増しており、24年も波乱の展開が予想される。特集『総予測2024』の本稿では、ジャーナリストの鈴木エイト氏に展望を聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

池田大作氏の“終い方”は正しかったのか
大川隆法氏の遺体は冷却保存されている?

 宗教は経済成長に伴い信者数が増加し、経済成長が止まれば活動が低下するとされる。

 国内最大級の宗教団体、創価学会を例に見ればその仮説は正しい。1958年に75万世帯だった公称信者数は、62年に300万世帯、70年に750万世帯と、高度経済成長とともに爆発的に増加した。

 だがバブル経済崩壊以降、世帯数は800万台から増えていない。学会を支持母体とする公明党の得票数は2000年代に入って減少傾向が続いており、22年の参院選比例票は04年のピーク時から約3割減少した。

 そして23年11月、池田大作名誉会長が死去した。60年に第3代会長に就いて以来、求心力の中心にいたカリスマの死は、成長から衰退へ向かう時代の転換を象徴する。

 教祖の死に伴う「事業承継」問題は、各教団の悩みの種だ。パーフェクトリバティー(PL)教団は、20年に3代目教主の御木貴日止氏が逝去した後、教主不在が続く。幸福の科学も23年3月、創始者の大川隆法総裁を亡くし、後継者を決め切れていない。

 昭和の時代に巨大宗教を築き上げた教祖たちは老齢化し、いずれ死に直面する。カリスマ不在でも持続可能な教団をつくれるか否かが、衰退速度の決定要因となる。

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令請求も、宗教界にとってネガティブなニュースだ。司法が解散命令を認めれば、教団幹部の刑事責任がなくとも民法の不法行為のみで法人格が剥奪される前例となる。

 宗教と政治の癒着、高額献金に苦しむ信者やその家族――。旧統一教会の問題で次々に発覚した事実は、何よりも宗教の負のイメージを国民に強烈に植え付けた。巨大宗教の「連鎖没落」は避けられそうにない。

 旧統一教会への追及に国軍奮闘してきた鈴木エイト氏に、解散命令発動の見通しや内部の権力抗争、創価学会や幸福の科学の最新情勢について聞いた。次ページでインタビュー全文をお届けする。