野村ホールディングスは24年4月、国内個人を顧客とする「営業部門」を「ウェルス・マネジメント部門」に改称する。「モーレツ営業」の象徴だった部門の名称を、あえて変える狙いは何か。インターネット証券優勢の時代、対面証券の雄はどう立ち向かうのか。特集『総予測2024』の本稿で、奥田健太郎社長に聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
2024年に資産運用立国が具現化へ
リスクマネーの好循環をつくり出す
――2024年に野村ホールディングス(HD)が打つ一手は?
24年は資産運用立国が具現化する年です。
この動きの中で私たちは一番大きな役割を果たすことができると考えています。運用力の高度化や金融リテラシーの向上にこれまで以上に取り組んでいきますし、何よりも大切なのはリスクマネーの好循環をつくっていくことです。
例えばNISA(少額投資非課税制度)で投資をしていただき、投資先の会社が成長し好業績を出す。それが配当として還元され、再び投資してもらう。
単にインターネットで何かを販売するだけではなく、こうした資金の好循環をグローバルでつくることがわれわれのテーマであり、資産運用立国の具現化に向けて一番大切なことです。
日本企業のガバナンスが高度化し、経営者のマインドも大きく変わってきている。欧米への投資と同じ基準で日本にも投資できると、海外機関投資家は感じ始めています。日本企業が割安に評価されていることを私たちとしてはしっかり訴え、投資してもらう。
――それらを踏まえ、24年の相場見通しは?
資産運用立国の具現化、運用力の高度化、リスクマネーの好循環。奥田社長が言うこれらのキーワードは、確かに野村HDの追い風になるだろう。ただしその一方で、SBI証券や楽天証券が国内株式委託手数料の無料化に踏み切るなど、インターネット証券勢の攻勢は増す。野村に対抗策はあるのか。そして再編への一手は。次ページで奥田社長が明かす。