コロナ禍での世界的な海運需要やコンテナ不足で“バブル”が起こった海運業界。一方で2023年は為替による船費の増加やロシアのウクライナ侵攻によるルート変更など、ビジネス環境が大きく変化した。陸運でも、景気低迷による荷動きの減速が懸念される。特集『倒産危険度ランキング2024&初公開!企業を倒産させた金融機関ランキング』の#25では、“危険水域”に入った陸運・海運の17社を公開。上位には大手タクシー会社も複数ランクインした。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)
アフターコロナで人流は回復傾向も
石油価格の高騰がネックに
「2024年はまだまだ状況が厳しくなるはずだ」。ある陸運関係者はそう言って表情を曇らせる。
3月1日、原油の国際指標である米WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の先物取引価格が約4カ月ぶりに1バレル当たり80ドル台を記録した。背景にあるのは、主な産油国が参加するOPECプラスによる自主減産措置だ。
4~6月の間、OPECプラスのうち、サウジアラビアは1日当たり100万バレルの減産を行う計画。ロシアは同約47万バレル、イラクは同22万バレルの減産措置を行う。
今後、減産による原油価格の上昇で、ガソリン価格も上昇する可能性が高い。さらに、陸運業界を襲うのは「2024年問題」による物流の停滞だ。
24年4月から、トラックドライバーの時間外労働時間について、年間960時間の上限制限が適用される。これにより、ドライバーを長時間拘束することで成り立っていた長距離輸送システムは通用しなくなる。
陸運・海運各社はこの“向かい風”を乗り切れるのだろうか。ダイヤモンド編集部が倒産危険度ランキングを作成したところ、17社が“危険水域”にあることが判明した。次ページでは、ランキングの詳細を明らかにする。