米GMはかねて35年以降にエンジン車を販売しない目標を掲げており、25年後半に安価なEVを投入する計画だったが、その要であったホンダとの量販価格帯EVの共同開発を撤回した。代わりに戦略を修正し、PHV投入の方向を打ち出してきている。

 米フォードもEV関連の投資計画全体のうち、120億ドルを抑制すると昨年10月に発表した。また、独メルセデス・ベンツは、30年の「完全EV化」を事実上撤回し、25年までに新車販売の最大50%がEVとPHVになるという見通しを「20年代後半」に遅らせた。

 EVの成長ペースが鈍化しHVやPHVが当面の電動化の“現実解”との見方が広がる中で、トヨタを筆頭とする日本車各社は、市場に合わせた展開で巻き返しの好機を見いだしつつある。

 だが、大きなうねりとしてBEVが主流になる動きは、長期的に見ると変わらないはずだ。

 足元のEV鈍化に一喜一憂せず、日本車各社にはEV過渡期としての現状の“現実解”に対するアドバンテージを活かしながら、低コスト化や自動運転との親和性を活かした機能開発など、長期視点でのEV対応が求められることになるだろう。

 また、アップルカーの撤退で、同じくテック企業とのコラボEVの代表であるホンダとソニーグループの共同開発車「アフィーラ」の動きにも変化があるのか、こちらにも注目したい。

(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)