早朝、夕方、夜の時間帯別必見スポット

渡月橋を渡って「十三参り」数えで13歳の子どもは渡月橋を渡って「十三参り」に

 最後に、京都の桜を知り尽くした「らくたび」から、混雑を避けたツウな時間帯別お花見スポットをご紹介しましょう。 

 まずは「早朝」。早起きして訪れてほしいスポットは、不動の桜名所であり、平安貴族も愛した風光明媚(めいび)な天下の名勝「嵐山」。朝8時頃の渡月橋は、地元の人がぶらり散歩している姿だけ。

 宿泊観光客は旅館やホテルで朝食タイム、日帰り観光客はまだ京都へ向かい始めたばかり。早起きして朝8時頃に渡月橋を渡れば、桜が彩る嵐山はあなたのもの。早朝は東山から昇ったばかりの低い太陽が、西に位置する嵐山を正面から照らすことになり、桜はさらに輝きを増してくれますよ。
 
 嵐山から嵯峨野へ歩いて、平安初期に嵯峨天皇が営んだ離宮・嵯峨院に始まる「大覚寺」にはちょうど開門の9時頃に着きます。拝観スタートと同時に境内へ入ると、これまた桜並木が取り囲む大沢池を朝日が美しく照らしています。

 大沢池のほとりを彩るソメイヨシノ(平安時代にはありませんでした)が水面に映り込む平安雅の桜風景を眺めながら大沢池をぐるり一周してみると、そこには大河ドラマ「光る君へ」にも登場するイケメン貴族・藤原公任ゆかりの名古曽滝跡があり、約700年ぶりに復活したことで話題のヒノキ造りの名古曽橋も架かっています。

インクラインで見る桜夕日に染まるインクラインで見る桜は一生ものの輝き

 次に「夕方」。朝は東から昇る太陽が嵐山を照らす…ということは、西に沈む赤い夕日が東山を照らすことになり、東山の桜をより赤く染め上げる時間帯になるわけです!

 地下鉄東西線「蹴上」駅1番出口すぐ、赤レンガのトンネル「ねじりまんぽ」横の坂を上がると、明治時代、琵琶湖疏水に造設された傾斜鉄道「インクライン」の廃線跡があります。ここに夕日が差し込むたそがれ時、不朽の名作映画『スタンド・バイ・ミー』の登場人物になりきって、廃線レール跡を歩いてみるのも、よき思い出になる?! さらに蹴上から北へ、昼間はにぎわう哲学の道も、夕刻には観光客が少なくなり、夕日が赤く染め上げる桜並木の美しさは格別です。
 
 最後に「」。桜を照らす幻想のライトアップ拝観といえば「清水寺」。国内外を問わず多くの観光客が訪ねる寺院ですが、さすがに閉門30分前の午後8時半くらいになると観光客が帰り始めます。その頃であれば、混雑をちょっと避けて、清水の舞台があたかも桜の雲に浮かぶかのような幽玄な風景を楽しむことができます。

  さて清水寺も、大河ドラマ『光る君へ』の主人公・紫式部が参拝に訪れたと伝えられ、『源氏物語』第4帖「夕顔」では清水寺のにぎわいがつづられています。清水寺の桜に、紫式部と藤原道長の恋が桜のように美しく咲くのか、はたまた、はかなくも散ってしまうのか、大河ドラマの中のふたりの行く末を重ねて眺めてみてはいかがでしょうか。

哲学の道昼は大混雑の哲学の道も、夕刻にはだいぶすく